日本にない日本車 トヨタ エティオス ~インドの道で鍛え抜いた!新トヨタ世界戦略の真実~ /桃田健史(1/2)

日本にない日本車 トヨタ エティオス ~インドの道で鍛え抜いた!新トヨタ世界戦略の真実~ /桃田健史
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インドではこれでも、高級車なのか!?

トヨタ エティオス

富裕層っぽい、恰幅良い男性作曲家が、グランドピアノの前で優雅に奏でる。その上質な音楽の波のなかを、シルバーの小型4ドアセダンが走り抜けていく・・・。

これは、トヨタのインドでの勝負車、「エティオス」のテレビCMだ。

それにしても、なんだかミスマッチ。

三菱「ミラージュ」

日本人が描く新興国向け小型車のイメージとはいえば、タイ生産で日本に輸入されている、三菱 新型「ミラージュ」のアレ。

「乗って!ミラ~ジュ!」(by 唐沢寿明、本仮屋ユイカ)の雰囲気とは全く違う。

「エティオス」のサイズは、全長x全幅x全高=4265x1695x1510mm、ホイールベースが2550mm。エンジンは新開発の2NR-FE(1.5リッター16バルブ直4)だ。

トヨタ エティオストヨタ エティオス

ミッションは5MT。価格は最近のルピー安もあり、日本円換算だとかなり安い。

エティオスのラインアップは4つあるが、廉価版で約71万円、エアバックやABSなどフル装備の最上級版でも約98万円。日本でなら「ミラージュ」やトヨタ「パッソ」よりも安く、商用軽自動車並の激安価格だ。

エティオスは2010年末の発売開始当初から人気が高く、2012年上期でも、総販売台数は4万4675台で、インド市場としては大ヒットを継続中である。

売れる理由を、多くのインド市民たちがこう表現する。

「トヨタは高級車というイメージが強くて手が出せなかったが、エティオスは上級感タップリで、しかも、なんとか手が出せる価格だから」。

トヨタはインドを狙い撃ちして「エティオス」を造り、成功した。

トヨタ エティオス リヴァ

そして、インド発の新興国向け車として、南アフリカへ輸出。

ブラジルでの現地生産も始まる。さらに、「エティオス」の派生車第一弾として、5ドア車の「エティオス・Liva」も登場した。

果たして、この激安1.5Lコンパクトカーエティオス、トヨタの新世界戦略車たちは、日本への上陸はあるのだろうか?

トヨタが「エティオス」を作ったワケとは?

ヒュンダイ「i20」エティオスのライバル車種、ホンダ「ブリオ」

日本人にとっては信じられないが・・・。

これから世界市場で、車はドンドン売れる。自動車産業は成長産業なのだ。

少子高齢化、若者の車離れなど、自動車の未来にとってはネガティブファクターばかりの日本。ところが世界市場全体の状況は、日本とは真逆だ。世界人口は現在の約70億人から、2025年頃に80億人、2045年頃に90億人を突破する。

そのなかで、世界一の人口国になるのがインドだ。現在は約12億人と、トップ中国の14億人に次ぐ2位だが、中国はあと10年程で、1人っ子政策におる高齢化社会が加速。あっという間に、インドが中国を逆転するのだ。つまり、将来的に最も車が売れる可能性がある国、それがインドなのだ。2015年には、日本市場にほど近い、400万台市場になるとの予測がある。

現在のインド市場、シェアの約半分は、最近現地の暴動事件でも話題になったマルチ・スズキだ。スズキは1980年代、多くの自動車メーカーがまだ注目していなかったインドに進出し、現在の地位を確立した。その独占体制に対して、ヒュンダイを筆頭に、VW、GM、フォード、そしてトヨタがチャレンジしている。

エティオスのライバル車種、フォード「フィーゴ」三菱「ミラージュ」

トヨタは「エティオス」投入まで、世界戦略車としては、大きく2路線あった。ひとつは、「ヴィッツ(ヤリス)」「カローラ」「カムリ」の定番商品群。もうひとつが、新興国向けのピックアップトラック/SUVのIMV(インターナショナル/イノベーティブ・マルチパーパス・ヴィークル)。だが、インド市場では、そのどちらもが「(最も売れる)ボリュームゾーンに合っていなかった」と、エティオス開発責任者は語っている。

そこで、トヨタは考えた。

世界市場で今後成長が見込める新興国を基盤とした、新世界戦略車を造ろう。その開発現場は、将来の成長が見込め、なおかつ走行条件等の「地域最適化」が極めて難しい、インドにしよう、と。ターゲットは、Bセグメント。ライバルは、ヒュンダイ「i20」、ホンダ「ブリオ」、フォード「フィーゴ」などだ。なお、前出の「ミラージュ」の場合、同じく新興国向けだが、5ドアハッチ車であり、エンジンが1.0リッターと小さいこともあり、BセグメントというよりはAセグメントに近い位置付けだ。

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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