日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー(4/5)

日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー
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これからの課題とは?

震災を受け、電気自動車から家庭などへ電力供給するV2H(Vehicle to Home)が急速に注目を集めている。日産も、今年5月に、世界初の住宅の分電盤に電力を提供する「リーフ・トゥ・ホーム」を発表し、6月中旬から発売を開始した。

「日産リーフ」住宅用電力供給システム"LEAF to Home"【日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー】日産リーフ【日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー】

【宮本丈司】リーフ・トゥ・ホームを行うことによるリチウムイオンバッテリーへの負荷は、それほど大きくはないと見ています。おそらく、リーフで市街地を走るより電気の出し入れは楽でしょう。というのも、ご家庭での電気契約は電流のアンペア数でなされていると思いますが、50アンペア(A)というのは、そうとうな大口契約の方です。

リーフ・トゥ・ホームでは、最大6kW(キロワット)の電力供給ができるようにしていますが、50Aで100ボルト(V)コンセントから電気を使うとなると、5000ワット(W)すなわち5kWですから、十分賄えますし、それも家庭で最大に使ってという上限ですから、家庭での一般的な利用は1kWくらいでしょう。電子レンジが1kW前後だったと思います。

ですから、リーフ・トゥ・ホームの使われ方は、電気自動車に車載するリチウムイオンバッテリーにとって、クルマで使われるより負荷は小さいはずです。ただ、電力が使われる頻度の影響については、実際にお客様に使ってみて戴かないとわからない面はあります。それでも、極端に厳しい状況にならないだろうと想定しています。

V2Hまで、電気自動車は利用の広がりを見せ、エンジン車ではできなかった価値が増大している。では、今後の課題はどうなのだろう?

【日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー】横浜~御殿場の距離では途中の足柄SAで急速充電を行う【日産自動車 EV技術開発本部 エキスパートリーダー 宮本丈司 インタビュー】

【宮本丈司】市場での電気自動車の存在を確固たるものにするという目的からすると、課題は、これまで同様に、走行距離と価格でしょう。

一方で、ひょっとすると、距離はいまのままで十分かもしれない。あるいはもっと少なくても、安くなる方がいいという声もあるかもしれない。そういう電気自動車の準備もしています。

また、4Rエナジー社(日産と住友商事の合弁による、リチウムイオンバッテリーの2次利用に関する調査会社:筆者注)の存在も、バッテリーの残存価値を回収できれば電気自動車の価格に還元できるので、より経済的に電気自動車を手に入れられる仕組みが作れないかという取り組みです。

いずれにしても、何キロメートルまで走行距離を延ばすかの数値はともかくも、市場を確保する上では、これくらい走れると安心できるという距離を確保するための技術開発はしておくべきですし、価格を下げる準備をしておくべきだということは間違いないと思います。

ほかに、たとえばゴルフ場にはカート充電用のコンセントがありますから、それを駐車場に出してもらえれば、半日プレイしている間に充電できます。しかも200Vの普通充電でいいでしょう。私は横浜に住んでいて、通勤(厚木市)にリーフを使い、週末は御殿場へゴルフをしに行くときもリーフで出かけます。その途中で念の為、足柄サービスエリアで急速充電しています。ゴルフ場で充電できるようになればいいですね。帰りは山を下ってくる大井松田インターチェンジまで、電気が減りません。

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御堀 直嗣
筆者御堀 直嗣

1955年東京出身。自動車ジャーナリスト。玉川大学工学部機械工学科卒業。1978年から1981年にかけてFL500、FJ1600へのレース参戦経験を持つ。現在ではウェブサイトや雑誌を中心に自動車関連の記事を寄稿中。特に技術面のわかりやすい解説には定評がある。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。また現在では電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副会長を務める。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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