スポーツカー日本代表「マツダ ロードスター」開発者に訊く! ~マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー~(1/2)

スポーツカー日本代表「マツダ ロードスター」開発者に訊く! ~マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー~
「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」 「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」マツダ株式会社 商品本部 主査の山本 修弘氏 「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」ロードスターとRX-8の開発主査を務める山本 修弘氏 「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」山本氏は入社時ロータリーエンジンの開発に携わり、以降RX-7やルマン用4ローターエンジン開発を経て・・・ 「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」RX-7の小早川イズムとロードスターの貴島イズムを叩き込まれてます、と語る山本氏 「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」ロードスター開発責任者 山本 修弘主査 「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」ロードスター開発責任者で今回の陣頭指揮にあたった山本 修弘主査 「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」全てのマツダ車の操安に関わる車両開発本部 操安性能開発部 操安性能開発グループの梅津 大輔氏 「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」新型ロードスターの味付けにも深く関わった梅津 大輔氏 「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」スポーツドライビング=荷重移動だ!と語る梅津氏 「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」インタビューは次第に熱を帯び、当初の予定を大幅に超すほどだった。感謝! 画像ギャラリーはこちら

希少な日本製スポーツカーの代表格

「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」マツダ 新型 ロードスター RS[ボディカラー:クリスタルホワイトマイカ]

今年に入りトヨタ 86とスバル BRZが登場したものの、日本車にはスポーツカーの品ぞろえが極めて少ない。

そんな中で、長く孤軍奮闘し続けているのが「マツダ ロードスター」だ。

1989年に初代モデルを投入して以来、日本の道路環境に合ったコンパクトなスポーツカーとして根強い支持を得ている。現行型は2005年に一新された3代目。2012年7月には一部改良を実施して、商品力をさらに高めた。

◎参考:

マツダ ロードスター 一部改良 ~ソフトトップ車とRHT車でキャラ分け明確に~[2012年7月5日]

一部改良における開発の狙いなどを、マツダ株式会社 商品本部 主査の山本 修弘氏と、同じくマツダ 車両開発本部 操安性能開発部 操安性能開発グループの梅津 大輔氏に伺った。

※本文中は敬称略

「人馬一体」の走りはさらに進化

「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」RX-7の小早川イズムとロードスターの貴島イズムを叩き込まれてます、と語る山本氏「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」マツダ 新型 ロードスター RS[ボディカラー:クリスタルホワイトマイカ] リアビュー

■オートックワン(以下:AC1)今では20年以上の歴史を持つロードスターですが、今回の一部改良ではどのような点を新しくされたのでしょう。

■マツダ 山本主査(以下:MY)ロードスターの開発では「人馬一体」の走りを進化させること、さまざまな喜びをお客様に提供すること、この2点に取り組んでいます。RHT(リトラクタブル・ハードトップ)の設定、特別仕様車なども、このクルマ造りを深める方向で行いました。

7月に改良を行った背景には、歩行者保護対策があります。これをきっかけに、新たな商品開発を行いました。

一部改良の内容は大きく分けて3つあります。

まずは『デザイン』。ロードスターの楽しさとして「走る/曲がる/止まる/見る/触る/聴く」という6つの要素がありますが、「見る」と「触る」がデザイン変更に当てはまります。

初代ロードスター譲りの顔つきに生まれ変わる

「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」山本氏は入社時ロータリーエンジンの開発に携わり、以降RX-7やルマン用4ローターエンジン開発を経て・・・「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」マツダ 新型 ロードスター RS RHT[ボディカラー:ドルフィングレーマイカ] 試乗3

そしてデザインは歩行者保護対策と関係しております。

最近のクルマはヘッドランプの下側がアゴを突き出したように張り出していますが、これは「足払い」といって、歩行者に接触した時に車両の下側に巻き込まないための配慮です。この点を満たした上で、ロードスターらしい「シンプル/ファン/フレンドリー」の新しい表現を行いました。

■AC1:具体的にどの部分を新しくしたのでしょうか。

■MY:従来以上にアグレッシブにしたい、低重心でスポーツカーらしく見せたいと考えて、初代ロードスターのフロントマスクに見られる立体的なデザインを採用しました。バンパーよりも奥まった部分にグリルがあるのです。今回の改良ではグリルを47mm後退させ、フロントマスクに奥行を持たせました。生き物を感じさせる見栄えです。

フォグランプが収まるベゼルも変更し、直線的にしてボディを低く見せています。高速時の浮き上がりを抑えるため、フロントマスクの下側にはチン・スポイラーも標準装着しました。

「タイトスポーツ」と「プレミアムスポーツ」、2つの世界観を明確化

「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」マツダ 新型 ロードスター 左がソフトトップ、右がRHT(パワーリトラクタブルハードトップ)「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」ロードスター開発責任者 山本 修弘主査

■AC1:ソフトトップとRHT(パワーリトラクタブルハードトップ)の違いはどうでしょうか。

■MY:従来型ではソフトトップはナンバープレートを少し高い位置に装着するなど違いを持たせましたが、ひとつのタイプに共通化しました。ソフトトップを含めてナンバープレートはグリルの内部に収まります。

この点では違いがなくなりましたが、2タイプで世界観を明確化しています。ソフトトップ車は「タイトスポーツ」、RHT車は「プレミアムスポーツ」のコンセプトをそれぞれ掲げています。

そのためヘッドランプはソフトトップがブラック塗装に、RHTはメッキ仕上げになっています。アルミホイールもソフトトップはダークガンメタリック塗装、RHTはシルバーです。

「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」マツダ 新型 ロードスター RS RHT[内装色:タン(本革)]

■AC1:インテリアはどうでしょうか。

■MY:RHTにはタン色の本革シートを採用するなど、文字通りプレミアム感を高めました。

ソフトトップでは、メーターリングなどの細かな部分を含め、艶のあるグロッシーダークグレーの色彩を多く採用。世界観の違いを際立たせています。

荷重移動をスムーズにつなげるための「ブレーキセッティング」とは

「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」マツダ 新型 ロードスター RS RHT[ボディカラー:ドルフィングレーマイカ] 試乗2

■AC1:2つ目の変更点は何でしょうか。

■MY:やはり『人馬一体の走り』です。

ドライバーの操作に対してクルマが正確に反応する感覚を、さらに深めたいと考えました。ブレーキとアクセルのコントロール性を改善しています。

「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」新型ロードスターの味付けにも深く関わった梅津 大輔氏

■マツダ 梅津氏(以下MU):初代ロードスターからの特徴として、滑らかな走りの楽しさがあります。

大切なことは荷重移動がしやすいこと

「Gを軽く回す」というか、コーナリング時にはピッチ(車両前方の下降)~ロール(ボディの傾き)~ヨー(車両の回転)という一連の動きをスムーズに進行させたい。コーナーの手前で制動すると前輪に荷重がかかり、徐々にブレーキを戻しながらターンイン。外側のタイヤに荷重が移っていきます。そしてコーナーを抜ける時に後輪へ荷重をかけていく。これの動きをキレイに繋げたい。

重要なのは前輪側の荷重を徐々に抜く時のブレーキと、後輪に荷重を移していく時のアクセルのコントロール性です。ブレーキの変更も止まるためではなく、曲がるために行いました。

■AC1:おおっ。明快で、突き詰めた開発ですね!

トレンドとは真逆だけど・・・積極的な荷重移動こそ「スポーツドライビング」の極意!

「マツダ 新型 ロードスター 開発ストーリー」スポーツドライビング=荷重移動だ!と語る梅津氏

■MU:ドライバーが荷重移動を積極的に行うことで、クルマの潜在的な能力を引き出せます。ドライバーの技量に基づいてクルマが走行性能を発揮する。これがスポーツドライビングだと思います。

日本を含む世界の自動車メーカーでは、荷重移動を伴わないフラットな姿勢を保ち、タイヤの能力によって曲がる性格のクルマもあります。また、前後、あるいは左右輪のトルク配分を電子制御で可変させ、車両の機能により積極的に曲げるクルマも増えました。現代のクルマが持つひとつの価値ですが、私たちは対極にいます

マツダ ロードスターを操るのはあくまでもドライバーです。

車両の動きも、ドライバーに対する依存度が高い仕上がりとしました。

■AC1:なるほど、確かに先進の制御技術を備えたクルマは、安全に速く走れます。ただし運転の上手と下手を自覚しにくいところがありますね。もちろん、急制動を行って危険を回避する時に横滑りを防ぐ安全装備は不可欠です。しかしドライバーが不用意にアクセルを踏み込み、本来ならば旋回軌跡が拡大するところを、車両側が操舵角度に応じて曲がらせるような機能までいくと、賛否両論あるところでしょう。

「今のコーナー、失敗しちゃった」

と分かった方が、運転は上達します。その意味でロードスターは上手と下手が分かりやすく、ドライビングの上達も実感しやすいクルマですね。

■MU:まさにその通りです。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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