日本にない日本車「インフィニティ」(1/2)

日本にない日本車「インフィニティ」
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日本製なのに、日本未発売・・・

G37FX50

首都高速・湾岸線。車両輸送トラックの上に「G37」、「FX50」などの「インフィニティ」たちの姿が見える。目指すのは、日産自動車追浜工場(神奈川県横須賀市)に隣接する輸出用埠頭だ。

日産の高級ブランド、「インフィニティ」の多くは、日産自動車栃木工場で生産されている。販売先はアメリカ、カナダ、ロシアを含むEU、中国、韓国、中近東など、世界46の国と地域だ。

でもどうして日産は「インフィ二ティ」を日本では売らないのか?逆輸入して日本に販売する業者がいたり、個人で日産のロゴを「インフィニティ」のロゴにつけかえたりするケースもあるのに・・・。

そうした疑問に答えるために、まずは「インフィニティってなに?」というところからご覧頂こう。

飛躍のキッカケは、「予想外のG」

90年代のインフィニティ「G20」

インフィニティは1989年11月8日、北米生まれだ。

80年代後半、ホンダが上級スポーティブランド「アキュラ」を開始。それに刺激されたトヨタも高級ブランド「レクサス」を登場させる。そうしたトレンドに乗り遅れまいと、日産でも「インフィニティ」が発案された。

だが90年代の「インフィニティ」は、いかにも中途半端であった。どのモデルも、日産の既存車を「ちょこっと演出したような」モデルだった。「G20」は「プリメーラ」、「Q45」は「シーマ」、「I30」は「マキシマ」、「M30」は「レパード」、「J30」は「Jフェリー」、そして「QX4」は「パスファインダー」であった。

90年代当時、筆者は日本の自動車雑誌の取材でよくアメリカ人たちに「インフィニティを選ぶワケ」を聞いたが、「割高だとは思う。でも、なんとなくイメージが良さそう」といった曖昧な答えが多かった。また当時、様々なインフィニティに試乗したが、その多くは乗りづらかった。

「インフィニティ」の中核だった「I30」は、サスを締め上げ過ぎており路面からの突き上げが強く、さらに物凄いトルクステア(アクセル操作に対してアンダーステアが強烈に発生)だった。結局、90年代の「インフィニティ」は、アメリカ人向けの「割高な日産車」のレベルであった。ブランド全体の人気は明らかに、「レクサス」、「アキュラ」よりも「インフィニティ」は劣っていた。

G35セダン(3代目 2002年~2007年)「V35スカイライン」に転用された、99年東京モーターショーに登場した、コンセプトモデル「XVL」

しかし、そうした流れが2002年に変わった。キッカケは「G35」がアメリカで大ブレイクしたことだ。

しかし、その成功を日産関係者の誰もが全く予想していなかった。なぜなら「G35」のベースである「V35スカイライン」は、日本で大失敗に終わっていたからだ。

99年の東京モーターショーにコンセプトモデル「XVL」が登場した。

当時、ゴーン体制になって間もなかった日産は、この「XVL」を「V35スカイライン」に事実上、転用してしまったのである。もともと「XVL」は新しい日産のセダンを目指したもので、けっして「次期スカイライン」ではなかった。

当時、日本のセダンはミニバンの台頭により人気は急落。しかも「XLV」は車幅の割に、ロングホイールベースで背高であった。当然ながら、60~80年代の「スカイライン全盛期」を知る層には受け入れられず、自動車雑誌の多くも「V35スカイライン」の取り扱いにかなり頭を悩ませていた。

そうしたなか、NNA(ニッサン・ノース・アメリカ/当時本社はカリフォルニア州ガーディナ)では、「新インフィニティ戦略」が練られていた。キーポイントは「スポーティなFR車での特化」だ。

筆者は当時、様々な立場で日産・インフィニティ関係者と接していた。そして「G35」北米進出の経緯を肌で感じていた。当時の日産関係者のほとんどが、「G35は市場への切り込み隊長」程度の認識だったと思われる。

ところが、「G35」はアメリカユーザーの心をガッシリとつかんでしまったのだった。その理由は「車内が広く、デザインも洗練されている」というモノだった。米大手自動車雑誌は「G35」のライバルを「BMW3シリーズ」として、「G35」の優位性を掲げた。「G35」の開発責任者は「まさか3シリーズと比較され、ここまで高評価になるとは思ってもみなかった」と筆者に漏らした。

こうした「G35」の予想外の大ヒットに後押しされ、新インフィニティ戦略車が続々と北米入りした。

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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