ロールスロイス ファントム シリーズII 海外試乗レポート/川端由美(2/3)
- 筆者: 川端 由美
全ては、より滑らかな走りを得るために進化した
メカニズムで注目すべきは、8段ATの採用である。460ps/720Nmもの大出力で0−100km/h加速を5.7秒でこなす一方で、燃費は10%も向上して、CO2排出量は385g/kmから347g/kmへと低減された。単なるスペックの向上ではなく、ドライブ・フィールにも大きな変化をもたらしている。多段化しても決してビジーにはならず、むしろ継ぎ目なく滑らかな加速を得た。減速時のショックも、ほとんど感じない。さらに、ステアリング上の「S」ボタンを押すと、シフト・プログラムが変化して大排気量のエンジンらしい加速を味わえる。
今回、最も印象的だったのは足回りの変化だ。リアのマルチリンクサスペンションのスプリングとアンチロールバーを最適化し、フロントのダブルウィッシュボーンのマウントを見直すことにより、より俊敏なフットワークを得た。もちろん、乗り心地は確保しながら、だ。
スイスからフランスへと渡る国境を越えたとたん、「ああ、国が変わったんだなあ」とわかるほどに路面が変わるが、ロールス・ロイスらしい”浮遊感”は変わらない。スイスの山道でも、フランスのB級国道の荒れた路面でも、何事も変わらないかのようにいなしていく。
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