メルセデス・ベンツ SLクラス 海外試乗レポート(2/3)
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
V6 316ps+7Gトロニックの至極の快感ドライブフィールを味わえ
SL350のV6エンジンは、さらにファインチューニングが施されており、16%アップの316psを誇る。特徴は高回転までの伸びの良さだろう。もちろんメルセデスらしい重厚感のある回転フィールは備わっているのだが、さらに軽快にスポーカーらしいパワーユニットへと成長を遂げている。
また回転の上昇に伴ってエキゾーストノートが刺激的に変化して行く様は、なかなか気持ちよい。特にトップを下げて自然の風を感じながら走った時にはロードスターをドライブする幸せをフルに感じることができた。また今回から装備されたヘッドレストから温風が吹き付けるエアマフラーのおかげで、寒いときでも気にすることはなく、快適なドライブが楽しめる。
新しいV6エンジンは、軽快でパワフルということだけでなく、V8エンジンに比べてノーズが軽くてステアリング操作にクイックに反応するところは、まさにロードスターの本領発揮の点と言える。SLをただのGTだと思っていたら大きな勘違いだ。
ここで強調したいのは、メルセデスらしく高い直進安定性は保っているので、高速クルージングではリラックスしてドライブできるということだ。トランスミッションは7速のトルコンによる7Gトロニックだが、シフトダウンの際はブリッピングをするので、なかなか気分もノってくる。
さらに変速時のショックもより小さくなった。そしてもう一つの大きなポイントは、SL350ではオプションだったセミアクティブコントロールのABSシステムだ。この制御は乗り心地とハンドリングが抜群に良く、非常に高度にバランスしている。このクラスのシステムとしては最高の完成度を誇る。コンベンショナルなコイルバネも良い仕上がりだが、ABCは誰が乗ってもすぐに違いがわかるほどだ。19inchタイヤの硬さもクセを感じさせない。
脅威の新型トランスミッションを搭載するAMG仕様
SL63 AMGは自然吸気V8/6.3Lから518psを発生する。こちらはこれまでのSL55から成長したAMG独自のモデルだ。オーバー500psのパワーも凄いがセールポイントのひとつに7速のスピードシフトがある。
従来の7Gトロニックをベースにしながら、トルコンの代わりに湿式クラッチに置き換えたことで、新しいトランスミッションを提案している。感覚的にはAUTOではトルコンATに近い変速感が得られ、マニュアル操作では変速に要する時間1/10秒と言う早いシフトで、セミマニュアルとは違う巧みな変速が可能だ。
一方のS63は6L V12にツインターボを組み合わせ、なんと1000Nmのトルクを発生する。0-60マイルに要する時間は僅かに3.1秒。これだけのパフォーマンスになると、もはや電子制御のサポート無しではまともに走らせることは出来ない。こちらの性格は限りなくGTで、スポーツカーのSL63 AMGやコンベンショナルなSL350とは性格分けが出来ている。
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