マツダ RX-8 スピリットR(SPIRIT R)試乗レポート/岡本幸一郎(2/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
RX-8は世界でも唯一無二のスポーツカー
それにしてもRX-8というクルマに触れるたび、つくづく「ユニークなスポーツカーだな」と思わされる。
ロータリーエンジンを搭載し、観音開きドアの採用により4人が不満なく乗れるようにした室内空間を持ち、スタイリングもドライブフィールも非常に個性的。こんなクルマは世界でも唯一無二だ。
考えてみると、RX-8をドライブするのはひさしぶりのこと。
2008年3月当時、マイナーチェンジ直後に新設定されたグレードであり、今回のスピリットR(MT)のベースでもある「タイプRS」をメインに試乗し、素晴らしい仕上がりだと感じたことを覚えているが、今回あらためてスピリットRに触れて、その記憶が蘇ってきた。
あらためて思い知るのは、まずはピストンが往復運動するレシプロエンジンとはまったく異質の、ロータリーなればこそ持つエンジンフィールの面白さだ。
回すほどにもっと回してくれと訴えてくるかのような感覚。
さらには独特のロータリーサウンドも心が昂ぶる。
レブリミット9000回転という高回転キャラを誇るレネシスだが、意外や従来ロータリーが苦手としてきた低中速域でのドライバビリティに優れる点も再確認できた。回頭性の良さも印象的だ。
最近では、まもなく登場するコンパクトFR車であるトヨタ86やスバルBRZが話題を集めているが、筆者も両車のプロトタイプを少しだけ試乗した上で、今回こうしてRX-8をドライブしたところ、あらためてRX-8を見直させられた部分が多々あった。
RX-8のみが持つドライビングプレジャーの世界
RX-8は重心が低く、コンパクトなロータリーエンジンとトランスミッションを車体の中心近くに搭載することでヨー慣性モーメントの低減を図っているおかげで、ステアリングの応答遅れが非常に小さい。
ダイレクトドライブ式電動パワーステアリングは、適度な操舵力と正確な操舵フィールを提供してくれるし、車体の前後セクションの剛性が非常に高く、前後をつなぐねじれ剛性も十分に確保されている印象がある。
これらにより剛性感のあるリニアな操舵フィールを楽しむことができる。
86やBRZも、もちろんハンドリングに磨きをかけてくるに違いないが、こうしたRX-8が生まれながらにして持つアドバンテージを打ち破るのは、そう簡単ではないだろう。
そういえば、かつて筆者がスープラからRX-7に乗り換えたときに大いに感銘を受けたのも、まさにこの点だったのだが、RX-8もやはりその味を持ち合わせている。
このクルマだからこそ身に着けているドライビングプレジャーの世界があるのだ。
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