トヨタ プリウスワゴン 試乗レポート/小沢コージ(4/4)
- 筆者: 小沢 コージ
- カメラマン:オートックワン編集部
プリウスとは似て非なるもの
というわけで見れば見るほどマジメに作られているプリウスワゴン。チーフエンジニアの粥川宏さんによると「時間があればいくらでも説明できますよ(笑)」だそうで、グローブボックスやドアポケット、そのほか物入れをとにかく増やし、容量アップしているようで、新たに動力バッテリーを内蔵したセンターコンソールの上にすら薄型の物入れを配置している。
一方、実用性向上のみの改良かと思いきや、インパネの一部樹脂はソフトパッド化しており、ノーマルプリウスより高級感も上がっている。再び粥川さん曰く「サイフの使い方を変えました」だそうで、どうやら開発費を性能アップ以上に、使い勝手の向上の方に使ったようだ。
昔から「似て非なるもの」と良く言われるが、まさにプリウスとプリウスワゴンはそういう関係。見た目は同系統だし、プラットフォームも共通だが、目標であり、志はかなり違う。同程度の才能をかたやスポーツ、かたやアートに使った兄弟のようなもので、この2台の食い合いは意外とないかもしれない。
そしてこのクルマ、特に新たにリチウムイオン電池を搭載したミニバン版はそれなりの価格上昇が見込まれるわけで、最低でも250万円前後はすると思われる。
となると意外と安く180万円程度から買えるウィッシュクラスの客は取らずに、それ以上の値段を取るステップワゴンクラスや、大家族持ちでプリウスが欲しくても買えなかった人、あるいは隣とは“ちょっと違うプリウス”が欲しかった人が買うのかも知れない。
とにかくますますのプリウスだらけぶりが予想されるわけで、個人的に一番期待したいのは「アンチプリウス派」の台頭だ。
確かにエコカーブームではあるが、人と同じクルマに乗りたくないのも真実。ここで高効率直噴ターボで燃費を稼ぐVWやアウディ、さらにBMWミニなどに目を向け、乗ってもらえれば日本のクルマ事情はより楽しくなる。
その昔、強い巨人あるところにアンチ巨人もいた。クルマ好き的には、アンチプリウスが強くなると、未来は広がるんですけどね(笑)
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