BMW アクティブハイブリッド X6 試乗レポート(3/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
X6に見たハイブリッドシステムの可能性
フットワークについても、2.6トンを超える車重ながら、そのハンデをできるだけ感じさせないよう努力した痕跡はうかがえる。
ただし、さすがにガソリンエンジンモデルと同等とまではいかない印象。
その理由は、xDrive50iよりも300kg近く大きな車両重量だけでなく、X6のガソリンエンジンモデルに採用されるトルクベクタリング機構の「ダイナミック・パフォーマンス・コントロール」が与えられていないことも少なからず影響しているはずだ。
とはいえ、重く、重心が高く、タイヤは大径と、走りにおいて難しい素性の重なったクルマである上、これほど強力な動力性能が与えられているわりには、同機構がないとマトモにコーナリングできないのではという危惧もあったものの、それほどでもなかった。
たしかに、ガソリンエンジンモデルで感じられる、リアの旋回外輪が掻いて回頭性を高める、あの独特の感覚はなく、また内輪が空転するシチュエーションも見受けられるが、ベースのシャシー性能の高さがあればこそ破綻を許すことはないのだろう。
また、Xモデル初採用となった電動パワステも、油圧式に対してそん色のない、しっかりとしたフィーリングを提供している。
そしてBMWが、このシステムを搭載する車種として、X6を最初に選んだのは、同システムで狙った走りに、X6のキャラクターがもっとも似合うから、そしてX6のようなクルマこそ、同システムの効果がより発揮されると考えたからだろう。
ハイブリッドシステムの可能性の大きさを、あらためて痛感させられた1台であった。
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