日産 R35 GT-R 2011年モデル 試乗レポート(3/3)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
一般道での実用性や燃費も大幅に向上!
午後は一般道や高速道路などを走ったが、ここでも各部の進化を体感することができた。
午前にサーキットを走っていたときも乗り味の洗練は十分に感じられたが、まず直感したのは乗り心地がずいぶん良くなっていることだ。
以前は「コンフォート」に調整しても、減衰がゆるくなるだけで突き上げ感はさほど変わらず、けっきょく「ノーマル」のほうが無難に使えるという印象だったところ、2011モデルでは、ちゃんと「コンフォート」な味になってくれる。
しかも、そのままワインディングや高速道路を走っても、ちょうど良い印象。この差は大きいと思う。
といっても「快適」というほどではない印象もある。このあたり、AMGやMなどの欧州の名門のハイパフォーマンスツーリングカーは上手くやっていると思うので、GT-Rもさらなる高みを目指して欲しいところではある。
ついでトランスミッションも、ジャダーがより小さくなり、エンジン回転の合わせ方とクラッチミートの制御がより緻密になったように感じられた。スポーツ走行時も従来に比べショックが小さくなっているように感じたが、むしろ市街地での一般走行におけるメリットのほうが大きいだろう。
また、時代を反映して、GT-Rにも一般走行時に実用燃費の向上や、足首の疲労軽減のため、駆動トルクを最適化し、シフトスケジュールを変更する「SAVEモード」が設定された。
実際、かなり「普通のクルマ」になるし、燃費にもそれなりに効くはず。GT-Rにはこうしたものはいらないという人も少なくないかもしれないが、現実としてはあったほうがありがたいのではと思う。
こうして、約8時間にわたりGT-R三昧という、筆者のようなハイパフォーマンスカー好きにはたまらない1日だったわけだが、やはり圧倒的な高性能というのは、そのこと自体に価値があり、それに触れることは、それだけでとてもエキサイティングで楽しいということをあらためて痛感した次第。
そして、その完成度が高ければ高いほど、その楽しさも倍増するというもの。2011年モデルのGT-Rは、まさにそれが当てはまると思う。
また、そこに「官能的」とよく表現されるものは、あまり介在しないところがまた、このクルマならでは持ち得る世界観なんだと思う。
GT-Rが持っているのは、いわば冷徹なまでの速さである。僕らがGT-Rに乗って感じるのは、その速さを追求した結果の副産物にすぎないのかもしれない。
現実的な話をすると、R35GT-Rというのはまったく新しいところからスタートしたクルマなので、それなりに改良すべき点もいろいろ出てくるし、もちろん開発陣の絶え間ない努力もあって、こうして短期間でこれほど良くなるのだろう。
そして筆者は、これまでもGT-Rに触れるたびに欲しくなってしまっていたのだが、やはり今回もまた同様であった・・・。
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