トヨタ ヴァンガード 試乗レポート

  • 筆者: 松下 宏
  • カメラマン:原田淳
トヨタ ヴァンガード 試乗レポート
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シティー派マルチSUVの特性とは

ヴァンガードは、トヨタの全く新しいミディアム高級SUVという触れ込みで登場したモデル。とはいっても完全に新規開発された車種ではなく、基本プラットホームやコンポーネンツはRAV4のものを流用している。日本でのRAV4はショートボディだが、アメリカではロングボディ版が販売されており、これがヴァンガードのベースとなった。

だが、アメリカ用のRAV4をそのまま日本に持ってきたわけではなく、日本での売り方やクルマの性格などに配慮し、外観デザインを乗用車感覚のものにしたほか、乗り心地などについても入念なチューニングが行われている。 ロングボディに3列7人乗りのシートを配置するのがヴァンガードの特徴で、SUVとしてだけでなく、ミニバン感覚で使うことも可能なクルマとされている。その意味で、ミニバンを卒業した年配のユーザーを主なターゲットとしながら、ミニバンを求める若いファミリーユーザーも対象にしている。

ヴァンガードはカローラ店とトヨペット店で販売されるが、カローラ店にとってはクルーガーVに代わるクルマであり、トヨペット店にとっては将来抜けるであろうハリアーを保管するモデルとなる。

セダン感覚と質感の高さがウリ

3列シートを持つロングボディ車なのでサイズはちょっと大きめだ。全長は4570mmあるほか、全幅も1800mmを超えている。

外観デザインはSUVにありがちな力強さを強調した感じではなく、街乗りにも似合うなようなおとなしい感じのものとされた。切れ上がったヘッドライトやグリルの横バーに施されたメッキ処理などが乗用車的な雰囲気を演出している。

リヤビューも背中にスペアタイヤを背負うスタイルではなく、すっきりした感覚のもの。このあたりも乗用車的だ。

インテリアの基本造形はRAV4のものと共通で、横への広がりを感じさせるインパネやカーナビ/オーディオ、エアコンの配置などは基本的に同じ。ただ、ツートーンの色使いがRAV4とは異なるほか、ブロンズ調の塗装処理をすることで質感の高いインテリアに仕上げている。

シート配置は2列5人乗りと3列7人乗りの設定がある。3列目のシートも一応しっかりしたシートが用意されているが、居住空間は大人が長く乗るには苦しい感じ。通常は格納してラゲッジスペースとして使い、イザというときに6人目以降のシートとして使う形だろう。全席に3点式のシートベルトとヘッドレストが用意されている。

街乗りの2.4リッター、余裕のクルージングの3.5リッター

搭載エンジンは直列4気筒2.4LとV型6気筒3.5Lの2機種で、最近のトヨタ車ではこの組み合わせを採用するものが増えている。ヴァンガードはロングボディのSUVで、全車とも4WDなので重量が重くなるため、排気量が大きめになるのも止むを得ない。

2.4L車はスーパーCVT-iと組み合わされ、滑らかな走りが可能。125kWの動力性能はボディに対して見劣りする感じではなく、日常ユースを中心に考えたら、これで十分と感じさせるもの。17インチタイヤの乗り心地の印象も好フィールだった。

3.5L車は206kWの強力なパワーを発生する。ヴァンガードのボディに対しても十分過ぎる性能である。こちらは5速スーパーECTとの組み合わせになるが、エンジン性能の余裕から走りの滑らかさに不満はない。ただ乗り心地は硬めの印象。18インチタイヤを履くことで段差のある部分などでは突き上げを感じることもあったが、乗り心地の味付けは基本的にはどちらも大きな違いはない。区別するならば街乗り用のクルマとしては2.4L、余裕のクルージングを楽しむなら3.5Lといった所だろう。

8種のバリエーションから走りで選ぶか、用途で選ぶか

駆動方式は4WDだけだが、搭載エンジンが2機種あるほか、5人乗りと7人乗りの設定がある。さらに両方のエンジンを搭載したモデルに、それぞれ標準とGパッケージが設定されているので、全部で8種類のバリエーションがある。

ベースグレードとなる240Sには260万円台の価格が設定されているので、これを狙うのがひとつの方法。Gパッケージは本革+アルカンターラのパワーシートが25万円高で用意されているので、本革シートが好きな人はGパッケージを選べば良い。

5人乗りと7人乗りは本体価格で4万円の差。この価格差で3列目のシートが装備されるとなると、ほとんどの人が7人乗りを選ぶのではないか。決して広くない3列目シートだが、イザというときのことを考えると、たいていのユーザーが7人乗りを選ぶはずだ。

350Sの価格は300万円を少し超えたあたりから始まる。7人乗りにしてGパッケージを選んでも330万円台だから、排気量の割には買い得価格といえる。3.5Lエンジンの動力性能は余裕のたっぷりの滑らかな走りだが、少々過剰な印象で乗り心地も硬めだったのが若干残念であった。個人的には2.4Lをおススメしたいところだが、3.5Lも足回り以外にはこれといった不満はなくトータルバランスでは両方ともよくできたクルマである。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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