オペル ザフィーラ 試乗レポート

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ヒット作の初代モデルを徹底的に進化させた新型オペル ザフィーラ

2005年初春に開催されたジュネーブ・ショーで、初めて一般公開をされたのが新しいオペル・ザフィーラ。ヤナセやスバルのネットワークを通じて導入された初代モデルに続き、この新型も2006年1月から日本で販売される事になった。1999年に発表された初代モデルは、世界で140万台が発売されたというヒット作。今度のモデルはそんな前作の成功にあやかり、見た目にもパッケージング的にも「初代モデルを徹底的に進化させる」というスタンスで仕上げられているのがまずは特徴だ。

ヨーロッパ地域では“コンパクト・ピープル・キャリア”、日本では“コンパクト・バン”という言葉で訴求をされるこの新型ザフィーラ最大の特徴は、「オペルが特許を所有する」というシートアレンジのシステムを標準装備とする事。“フレックス7・シーティング・システム”と呼ばれるこのアイテムは、7人乗りのミニバン・モードから2人乗りのカーゴ・モードまでを、シートを取り外したりする事なく簡単にアレンジ出来るのが、大きなポイントになる。

質実剛健とした雰囲気を放つデザイン

すでにアストラやベクトラで採用済みの“新時代のオペル・マスク”を用いたりはしているものの、全体的には従来型同様にいかにも質実剛健とした雰囲気を放つのが新型ザフィーラのエクステリア・デザイン。そうした中で唯一(?)の遊びコゴロが感じられるのが『スポーツ』グレードにオプション設定をされる“パノラマ・ガラス・サンルーフ”。なぜかアダプティブ・ヘッドライトとの抱き合わせオプションで、その分値段が張るのがちょっと惜しいものの、これを選択するとキャビンは一気に明るく開放的になる。電動巻き取り式のシェードが装備されるので、灼熱の夏の日差しへの対応も万全。ただし、セットで装備をされるオーバーヘッド・コンソールの収納性・取り扱い性は優れているとは言えないが…。

従来型比+150mmの全長のお陰で、3列目シートは従来型の「あくまでも子供の緊急用」というものから、2列目/3列目の乗員がそれぞれ“譲りあい”を行えば「大人でも何とかOK」というスペースへと昇格。オペル車というと少し前まではインテリア各部のチープな作りが気にもなったが、新型ザフィーラでは「特に優れているとは言えないまでもまずは不満のないレベル」とそのように語れるまで、こちらもまた昇格をしている。

「あくまでヒトが移動をするための道具」を前提とした走りの実力

走りの性能云々よりも、シートアレンジの多彩さや収納スペースの大小などアイディア装備を満載してユーザーの目を奪う、というのが日本発のミニバンたちの一般的な商売のやり方。が、「シートを多数備えても、それはあくまでヒトが移動をするための道具」という考え方が支配的なヨーロッパ発の“ピープル・ムーバー”では、やはり走りの実力が違う――新型ザフィーラのテイストは、確かにそうした事を実感させられるものだった。

低回転域でのエンジントルクが強く、スタート・シーンをはじめとする日常域で力強い動力性能を味わわせてくれるのはオペル車に共通の美点。一方で、ATがいまだ4速どまりであるのは惜しいポイント。上り坂では時に2速と3速の間を忙しく往復する事になるし、エンジンブレーキを使おうとダウンシフトの操作を行うと、大きめショックと共にノイズが一気に高まるのも嬉しくない。驚くのはフットワークの仕上がりレベルの良さ。接地性は常に高いし舵の正確性も第一級。高速時のフラット感やコーナリング時の安定感も高いので、これならば長時間の高速クルージングでも乗る人すべてのストレスはごく少なそうだ。

ミニバンにも"欧州色”を求めるユーザーに

メルセデス・ベンツやBMW各車に比べると、一見のところその“ヨーロッパ度”の程はさして濃そうに思えないちょっと地味め(?)な一台がこの新型ザフィーラ。が、実際には日本のライバルたちと最も異なるクルマづくりの思想を実感出来るのが、こうした“ミニバン・クラス”かも知れない。このクルマは、そうした印象を実に色濃く教えてくれる事になったのだ。

まずはこの新しいザフィーラ、その運動性能が当初の予想を大きく超越する高さ。背の高さや重心の高さといった運動性能上での物理的には不利な条件を撥ね返し、「何とか通常のセダン・レベルの走りの性能を達成させよう」という作り手側の強い意思が感じられるのがこのモデルでもあった。

一方で、例のシート・システムのアレンジの過程に、標準的な日本人を基本に考えると必要とされる操作力が過大と思える部分が存在したり、パーキング・スピードでの操舵力がやや重過ぎたりと、良くも悪くも“欧州流”の色が濃厚過ぎるほどに濃厚と思える部分があったりするのも現実。そんなところすらをも「個性」と受け取れる人にとっては、このザフィーラというモデルは日本のライバル車たちよりも遥かに相性の良い相棒となってくれるに違いない。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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