あの手・この手でタイヤの面白さを実感！「YOKOHAMA スタッドレスタイヤ勉強会」(3/4)

テスト2・コンパウンド別スリックタイヤで性能の違いを体験せよ！

＜2＞はさらに面白かった。

なんとスタッドレス用、ウインタータイヤ用のコンパウンドでスリックタイヤを作り、これを比較したのである。ちなみにウインタータイヤは欧州でポピュラーな存在。気温が低く雪が溶けにくい環境に合わせてアイス性能よりも雪柱剪断性能（雪を踏み固めて抵抗を増す力）を高め、かつ高速巡航に適したドライ性能（剛性）とウェット性能（排水性）を高めた冬用タイヤである。

参考までに言うとスタッドレスは気温が高い地域用で、溶けた氷が作り出す水膜を排出するためにサイプが細かく刻まれ、IG60では吸水ゴムが搭載されている。立体形状の「クワトロピラミッドディンプルサイプ」によってトレッドゴムの倒れ込みを防ぐ工夫がなされ、その速度記号も「Q」（最高速度160km/h）までになったが、欧州の要件においてはちょっとばかり速度レンジが低いタイヤなのだ。

そして両者のゴムを純粋比較すると、当然ながらスタッドレス用ゴムの性能が光った。氷盤での制動距離は圧倒的に短く、圧雪路でもなんとか走れてしまう。溝なしのスリックタイヤが路面をつかむ違和感は、思わず笑ってしまうほどである。

これはスタッドレス用のゴムが前述の通り氷盤での水を排出できるからというのがひとつ。そして圧雪路では、所々凍っていたりデコボコに荒れた路面に対して、柔らかいゴムがこれを包み込んでトラクションを掛けてくれるのである。

だからちょっといたずらをしようとサイドブレーキを引こうものなら、ドリフトアングルを一気に通り越してスピンモードに入ってしまう。そしてそこからアクセル全開でトラクションを掛けても、クルマが前に進まない。

つまり＜1＞と＜2＞のテストを総合すると、パターンとコンパウンド、そしてそれぞれの得意な領域を認識することができたのである。

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