あの手・この手でタイヤの面白さを実感!「YOKOHAMA スタッドレスタイヤ勉強会」(2/4)

  • 筆者: 山田 弘樹
  • カメラマン:横浜ゴム・オートックワン編集部
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テスト1・ゴムの性能を同等とした上で、パターンだけでどれだけ性能に違いが出るか体験させよ!

まず最初は<1>のパターン比較について説明しよう。

ここでヨコハマは、前作である「IG50 Plus」のコンパウンド(ゴムのこと)で作ったIG60を用意。これをIG50 Plusと比較した。つまりゴムの性能を同等とした上で、パターンだけでどれだけ性能に違いが出るかを体験させようとしたのである。

走行ステージは新設された屋内試験場と、圧雪広場での8の字旋回。試乗車はトヨタプリウス(4WD)であった。

スタッドレスタイヤは年々着実な進化を遂げており、新作が旧作の性能を上回ることは必然。よってその結果は共にIG60パターンの圧勝。しかしそれがどのように違うのかは、やはりきちんと説明する必要がある。

たとえば氷上のブレーキ性能については、まずIG60パターンの方が速度を合わせやすい。テストは時速30km/hで走行し、指示ポイントからブレーキを踏むという至って簡単な内容だったが、氷盤で30km/hまで加速する際IG50 Plusに対してIG60パターンの方が空転が少なく、メーターを目視しながら速度を正確に合わせやすかったのだ。

そしてブレーキングに関しても、当然IG60パターンの方が安定して短く止まることができる。つまり加速とブレーキング、用途は違うとはいえこれらはタイヤを縦に使う能力なのだ。ちなみにIG60はIG50 Plusに対して15%制動距離を短縮しているが、これはパターンのエッジ効果に「プレミアム吸水ゴム」の性能を加えた公表値だ(タイヤサイズは195/65R15、試験車の駆動方式は前輪駆動)。

ただしこれが圧雪路での8の字旋回になると、また話が少し変わる。

というのもIG50 Plus、その絶対的な旋回速度こそ低いがブレーキングからターン、そして加速という行程において非常にまとまりがよく、クルマとタイヤの動きがつかみやすいのである。

対してIG60パターンはブレーキングが鋭いのだが、旋回に対しては初期操舵の手応えにデッドな領域が少しあり、それ以上切り込んで行くとパターンによる抵抗が増えてグリップが高まる。総合性能は高いのだが、商品としてはちょっと違和感がある。

そしてこれは、当然のことだと筆者は感じた。なぜならタイヤはそのパターンとコンパウンドが同時に開発され、お互いの能力をバランスさせて走安性を作り上げるものなのだから。

つまり8の字旋回に対してはやや企画倒れな部分もあったが、少なくとも縦方向のグリップと、パターンが作用する領域での違いは十分に見ることができた。どうせならIG60とそのコンパウンドでIG50 Plusパターンの比較をすればIG60の良さまでもが体感できたのに……とは思ったが(笑)、あの手・この手で我々に技術を体感させようとしてくれたヨコハマの努力には、本当に頭が下がる思いであった。

>>(次のページ)テスト2・コンパウンド別スリックタイヤで性能の違いを体験せよ!

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山田 弘樹
筆者山田 弘樹

自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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