三菱ふそう「スーパーグレート」トラクター試乗&解説|21年ぶりのフルモデルチェンジ、先進の安全機能やスムーズさを体感(3/4)

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スーパーグレートの「試乗会」にドキドキ!

新型スーパーグレート トラクター発表会は、栃木県さくら市(旧喜連川<きつれがわ>町域)の三菱ふそうトラック・バス株式会社の研究開発・製品開発やメカニックのトレーニングが行われる喜連川研究所にて試乗会と同時に行われた。同研究所は東京ディズニーランドとディズニーシーの合計敷地を上回る117万平方メートルという広大な敷地に、1周3.6kmの高速周回路や各種走行実験を行える汎用路、凸凹路、ABS試験路、騒音試験路などのテストコースを備えており、試乗会ではこの中から高速周回路と汎用路が使用された。

ところで今回の取材はオートックワン編集部で元トラックドライバーという異色の肩書きを持つM氏にご同行いただいた。かくいうぼくも20年ほど前になるが2〜4tトラックドライバーだったこともあって、ダブル元トラックドライバーということに。そのため今回の取材は二人とも興味津々!

試乗は高速周回路を高速で走行する組、汎用路で撮影する組、同じく汎用路で坂道の上り下り、スラローム、車庫入れなどを体験する組に分かれており、6〜7媒体ずつ集められたグループごとに交代する。

ぼくたちのグループはまず高速周回を体験することになった。広い高速周回路に2台の海上コンテナをけん引する状態にセットされたトラクターと何もけん引していないトラクターが並ぶ。その姿にまず興奮!大きい乗り物はロマンだ!そして、そのうち1台のトラクターのキャビンに2人でよじのぼるようにして乗り込み、M氏がベッドに、ぼくが助手席に乗り、研究所の方の運転で同乗試乗がスタートした。

迫力の高速周回と滑らかな加速にビックリ

乗り込んだトラクターはトレーラーを牽いており、載っているコンテナには10tほど荷物が積んであるとのことで、発進時には重いものを引っ張るため衝動が起こる。でもそれはシフトショックによるものではなく、速度に応じて12段AMT「ShiftPilot」は進段のショックを一切感じさせないスムーズな変速を行ってくれる。

ちなみにAMTは運転的にはクラッチ動作から開放されたオートマチックだが、構造的には「クラッチ動作の無いセミオートマ」だ。

鋭い発進を見せたスーパーグレートはぐんぐん速度をあげていく。高速周回路は6レーンあり、そのうち4レーンを走る……のだがコーナーに急激なバンクがついた周回路なので、外側に近い4レーンはトラックの高い視点からはかなりの傾斜に見える。でもその傾斜も何のその、スーパーグレートは安定して高速走行をこなしていく。キックダウンによるシフトダウン時の変速ももちろん滑らかだった。

車間を保持して走行する「プロキシミティ・コントロール・アシスト」

高速周回路での試乗のもうひとつのポイントは、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)である「プロキシミティ・コントロール・アシスト」の体感だ。前を走るトラックの速度に応じてアクセル、ブレーキペダルの操作を一切しなくても速度を調整、停車までしてくれる。3秒以内に前車が発車すれば、アクセルを踏まなくて発進してくれる。

アダプティブ・クルーズ・コントロールは乗用車では普及し始めており、すでに使用している方も多いと思う。一度長距離で使用するとその便利さとラクさを実感出来る装備だと思う。長距離・長時間運転が多く渋滞にはまる機会も多いトラック、そしてトラックドライバーにこそ必要ではないだろうか。

低速、微速でもショックをほとんど感じさせないきめ細かい制御のAMT

オートックワン取材チームは続いて撮影を終え、昼食を挟んで最後の試乗メニューの汎用路での試乗へ。前述のように敷地が広い喜連川研究所では、敷地内の別のコースも歩いて行くのは大変なので、バスで汎用路へ移動した。汎用路は、ジムカーナ会場がいくつも出来てしまうような広さ!

ここでの試乗は、汎用路奥に伸びる急坂、車庫入れ、スラロームなどの繊細なアクセルワーク時におけるAMTの滑らかさ、急坂での坂道発進/低速でのダウンヒルなどを体感出来るメニューになっていた。まず鮮やかなイエローに塗られ、トレーラーをけん引するトラクターに乗り込み、坂道に入って行く。

オートマチックと異なりクリープのないAMTは、坂道でブレーキを離すとそのまま下ってしまうが、スーパーグレートには坂道発進補助機能「EZGO(イージーゴー)」が装備されているため、安心して坂道発進も可能となっている。重たいものを背負っていても、発進→加速→変速はとてもスムーズだ。

また、重たいトラック(とくに積荷が重く自重もあるトレーラーけん引のトラクター)では下り坂の速度を抑えることは安全運転上でも重要。このような場合クルーズコントロール機能を利用して速度設定を行えば、設定された安全な速度を保って坂道を下ってくれる。この際、スーパーグレートでは自動変速機能を持つAMTが大いに役立つことは言うまでもない。

バックでの車庫入れではクリープを利用することも可能なほか、AMTではギクシャクすることもある発進時や低速時の走行でもシフトショックを感じさせなかった。けん引しない状態でも試乗を行ったが、AMTは単にシフトアップ/ダウンを速度に合わせて行うのではなく、積荷の状況に合わせてギアを選んでいることも興味深かった。

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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