メルセデス・ベンツ SLS AMG 海外試乗レポート(3/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
SL AMGとのキャラクターの違いは明確
日本では2,000~2,500万円と目される価格は、SL AMGとの競合も杞憂されるが、両者の走りのキャラクターの違いとして最も印象的だったのは、そのハンドリングのテイスト。
低重心で完全フロント・ミッドシップのレイアウトに、速いステアリングが組み合わされたSLS AMGのそれは、まさしくピュア・スポーツカーらしいシャープな動きを示す。
これに比べるとSL AMGのそれは「まるで乗用車」という印象で、その違いは想像以上に鮮明なのだ。
もちろん、SLでも十分にスポーティな感覚は受ける事が出来るわけだが、ここはやはり「素性の違い」を実感させられるところ。
ドライサンプ化まで施して低重心化に挑んだり、トランスミッションを後方に分離配置して重量配分の改善を目指したりといった結果による実際の走りの鮮烈さは、そんな“スポーツカー・パッケージ”を採用したSLS AMGの独壇場だ。
快適性については、基本的に予想以上の上質さを味わわせてくれたが、中でも感心したのはオプション設定の“コンポジット・セラミック・ブレーキ”を装着したモデル。標準仕様を明確に凌ぐ脚の動きで軽やかさを実現していた点だ。
実は、このオプション・ブレーキは1輪当たり前輪で5.6kg、後輪で4.1kgも軽量。そんなばね下重量の違いが路面凹凸を拾った際の車輪の追従性の違いとして現れていたに違いない。
不朽の名車として、今でも多くの人に憧れの存在として受け取られる往年の300SL。SLS AMGは単なるルックス面だけではなく、「真のスポーツカーを創りたい」というフィロソフィからして、そんな300SLにオマージュを抱いた存在であるわけだ。
この記事にコメントする