メルセデス・ベンツ SLS AMG 海外試乗レポート(1/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
当初はガルウィングの構想は無かった
これまでのAMG各モデルのように、既存のメルセデス・ベンツ車をベースとするのではなく、クルマ作りのプロデュース全てをイチからAMGが担当する――そんなやり方で2006年から開発が進められて来たのが、先般のフランクフルト・モーターショーでスターの座を務めたSLS AMG。
2シーターのスポーツモデルという点から「SLRマクラーレンの後継モデル」という見方をされがちだが、それに比べると遥かに“リーズナブル”な価格が目標として定められた。その達成のために高コストなカーボンモノコック式ボディの採用は当初から見送られるなど、敢えて『スーパーカー』的ストーリーが数多く盛り込まれたSLRマクラーレンとの微妙な立ち位置の違いには、興味深いものがある。
ガルウィング式ドアに、ジェットエンジンのインテークのような形状のフロントグリル、長いノーズや前輪後方に設けられたサイド・エアヴェント・・・と、こうした数々のデザインモチーフを目にすれば、そこでは往年の名車である1950年代製の『300SL』に対するオマージュを誰もが感じるはず。
実はこうした特徴は、車両の基本パッケージが完成した後に与えられたものだという。
AMG社が理想とするピュアスポーツを求めてパッケージングを開発して行く段階では、意外にも「ガルウィングなどは必ずしも構想になかった・・・」というのがこのモデルでもあるのだ。
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