グッドイヤーの新スタッドレスタイヤ ”ICE NAVI 7”(アイスナビ7)を氷上インプレッション
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:和田清志
日本専売モデル ICE NAVI 7は住友ゴム工業との共同開発
グッドイヤーのスタッドレスタイヤブランドとしておなじみのICE NAVI(アイスナビ)シリーズの登場から、ちょうど20年目という節目の2017年。7代目となる新製品”ICE NAVI 7”が発表され、8月1日より、全67サイズが発売される。
乗用車用スタッドレスタイヤにおいて、氷上におけるブレーキやコーナリング、トラクションなどの諸性能のさらなる向上が求められているのは消費者の調査でも明らか。
しかも地形が複雑な日本の冬道は、気温や湿度により路面状況が変わりやすく、世界的に見ても稀有な厳しい環境であることは、すでに多方面で報じられているとおり。
日本専売となる同商品の開発は、日本グッドイヤーのパートナーであり生産委託先である住友ゴムとの共同作業で、あらゆる日本の冬道に対応できることを念頭に進められた。
住友ゴムの商品とコンパウンドや内部の構造等、技術的に共通する部分もあるが、トレッドパターンにはそれぞれ新パターンの専用デザインを採用している。
アイスナビ7の新パターン 5つのポイント
(1)セブン・エフェクティブ・デザイン
横方向の剛性を確保した中間のブロックにより、氷上やドライ路面での操縦安定性が向上するとともに、センター部にブロックリブを配置したことで直進安定性や制動性能が向上した。また、ミドルからショルダーにかけての剛性も高く、コーナリング時の接地長が長くなったことで氷上コーナリング性能も向上している。
(2)バイティング・スノー・デザイン
ジグザクに配置されたラグ溝によって雪柱せん断力が増し、雪上でのグリップとトラクションが向上している。
(3)アクア・スプラッシュ・グルーブ
4本の縦溝をバランスよく配置したことで、ウェットや水分を多く含んだ雪道でのハイロドプレーニング現象を抑制する。ウェットブレーキ性能は2%向上。
(4)イニシャル・エッジ・デザイン
ブロック表面にデザインされたエッジにより、装着初期から氷上グリップ性能を発揮。
(5)エキストラ・マルチプル・サイプ&ウルトラ・NAVIブレード
ジグザクにデザインされたサイプの採用によりパターンエッジ成分が従来比で13%増えたことで、氷上でのグリップを向上させる。また、ウルトラ・NAVIブレードがブロックの倒れ込みを抑えることで、接地形状を最適化する。
一方のコンパウンドについても、シリカの配列の最適化により、細かい路面の凹凸に対する密着性能を高めることができ、氷上ブレーキ性能が7%も向上している。
さらに、シリカを従来よりも細分化し、柔軟性を高めた、エキストラ・コンタクト・コンパウンドにより、氷上性能を高めながらも、発熱による分子間断裂を抑えるポリマーを継続採用することで、相反するライフ性能は同等を維持しつつも、転がり抵抗を4%低減させることができた。
全体的なしっかり感が向上したICE NAVI 7
以上のように、グッドイヤーが「プレミアムスタッドレス」と呼ぶ新商品のICE NAVI 7と、従来商品のICE NAVI 6を、それぞれプリウス(195/65R15 91Q)とC-HR(215/60R17 96Q)の4WD車に装着し、新横浜スケートセンターにおいて乗り比べる機会に恵まれた。
試乗テストコースは、スタートして8km/hの車速を保ちながらスラロームと外周でのコーナリングを試してから、15km/hまで加速してフルブレーキングするという、いたってシンプルなレイアウト。最初にICE NAVI 6装着車で走った感覚を覚えておき、それをもとに直後にICE NAVI 7装着車をドライブしたところ、その差は実に顕著だった。
まず発進時に、ちょっと強めにアクセルを踏むとどちらも空転するが、前に進み出すまでにかかる時間が違う。ICE NAVI 7のほうがスムーズに発進できる。これは自分の順番ではないときに、他の参加者が走るところ(筆者よりも派手にアクセルを踏んでいる人もちらほら)を外から見ても明らかだった。
そして最初の一発目のターンでも、小さくない違いを感じて、そのままスラローム~コーナリングではICE NAVI 7のほうが操舵初期の応答に遅れがなく、ベタッとグリップして回頭する感覚がある。コーナーでロールしたときに接地長が伸びるようになっている効果を体感できるシーンである。素早い転舵を試してもちゃんとついてきて、より違いが明らかに出る。
また、同じようにコーナーを曲がるために必要なステアリングを切る角度も小さくてすんでいる。ICE NAVI 7装着車に乗ってから再び ICE NAVI 6装着車に乗って、ICE NAVI 7と同じ感覚で走るとアンダーステアが出てしまった。
最後に15km/hまで車速を高めてからフルブレーキング。距離が短くて速度の調整が少々難しかったのだが、これもたしかにICE NAVI 7のほうが短い距離で止まった。
グッドイヤー ICE NAVI 7は、とにかく全体的にグリップ感がずっと高いことが印象的だった。
むろんコンパウンド自体のグリップや、サイプの増加によるひっかき効果や剛性向上など上で述べたいろいろな要素が総合的に効いて、このフィーリングの違いに表れているのだろうが、全体としては、このコースにおいては、縦方向もさることながら、横方向のグリップの向上が印象的だった。 また、プリウスでも違いは明白だが、車両重量が大きくて重心高が高く、タイヤ形の大きいC-HRのほうが全体的にわかりやすかったのは事実だ。
ちなみに静粛性についても、入力のない氷上ではちょっとわかりにくかったのだが、ロードノイズも低減しているのだという。それについてもぜひいずれドライ路面で試してみたいものだ。
ICE NAVI 7自慢のアイス性能はライバルメーカーのスタッドレスタイヤを超えたか
正直なところ、数年前までは、ICE NAVIシリーズは競合するメーカーの商品に対して、滑り出しがわかりやすくて動きが素直という良い面もあった半面、アイスグリップの絶対性能においてはやや劣る印象を覚えたのは否めない。ところが、これで並んだか、上回った部分もあるように思う。
開発関係者によると「今回のICE NAVI 7でアイス性能を大きく伸ばしたので、我々も自信を持っています。今年の冬に向けて他社さんからも新商品が出てくると思いますが、弊社の商品がどのような位置づけになるのか楽しみです」とのことだったが、同じく筆者も本当に楽しみだ。
[レポート:岡本幸一郎/Photo:和田清志]
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