ホンダ ストリーム プロトタイプ 試乗レポート(2/2)

北海道テストコースでテストドライブ

新型ストリーム2リッター『RSZ』と1.8リッター『X』グレードのプロトタイプ・モデルに、ホンダの北海道テストコースでテストドライブを行った。限られた時間と限られた設定コース内での試乗ゆえに、2列目、3列目シートでの快適性などチェックを仕切れなかった部分も少なくない。が、それでもホンダがこのクルマに込めた気合いのほどは垣間見る事が出来た思いがする。

まずはドライバーズ・シートへと乗り込み、いつものように好みのドライビング・ポジションを決めてみる。すでにこの段階で好感が持てるのが、高過ぎず低過ぎずのシート位置と“上開き”気味に開くドアのお陰で乗降性に優れている上、ステアリングにリーチ調整機能が与えられて望んだドライビング・ポジションをすぐに得られるのに加え、視界もすっきりと開けている事だ。

「どれもしごく当たり前」と思われるかも知れない。か、昨今は見栄えばかりにとらわれるせいか、そんな“当たり前”が満足に出来ないモデルも少なくないのだ。例えば、これまでもストリーム最大のライバルと目され、時に月間のベストセラーなども報告された某車などは、他車との無理矢理の部品共用化のためにステアリング・コラムの位置が不自然に低く、どうやっても理想のドライビング・ポジションが得られない、といった事態も現実に起きている。その点、「オデッセイの運転死角の大きさへの反省から」（！）特に良好な運転視界には拘ったという事もあり、このクルマの視界の広がり感は最近のニューモデルの中では確かに特筆すべき水準。前下がりのベルトラインやドアミラー前から左右を確認するための“三角窓”も大いに有効で、これならば、“5ナンバー・サイズ”というボディのコンパクトさを最大限に生かす事が出来そうだ。

『RSZ』ではもちろんの事、『X』グレードでもハーフアクセル時までの加速の能力には不満は全く感じない。『RSZ』のステアリング・ホイールには左右にパドルが付き、これでCVTをあたかも「7速MTのように扱える」という事になっているが、率直なところ今回のテストドライブではさほどの必要性を感じるというまでには至らなかった。Dレンジ走行中でもパドル操作が優先され、坂道やコーナリング時には無用な変速を抑制するといった機能が付くのは評価すべき点。が、パドルそのもののデザインが小さい上に樹脂の材質が少々質感に欠け、ステアリング操作と共に回転してしまうというのも残念だ。

電動パワーステアリングは、ひとたび走り始めると気にならなくなるものの、微低速時には強い粘性を感じさせられてちょっと違和感が強い。一方で、高速走行時のフラット感は期待以上に高いし、静粛性も気に障るノイズは皆無だった。乗り心地にさほどの悪影響を与えず特にリア側がしっかりとしたコーナリング・フィールを味わわせてくれるという点では、やはりリアにスタビライザーの入る『RSZ』の方が『X』よりも一枚上手だ。

ところで、気になる居住スペースは1列目、2列目で余裕があるのはもちろん、簡単操作ですっきりと格納をされてしまうために一見では“応急用”とも受け取れる3列目シートでも予想よりも実用的な空間が確保されていた。全高が下げられたパッケージングゆえに気になる頭上空間もまずは満足レベル。特に3列目では2列目シート下に足先を楽に入れられるレイアウトが大きく効いている。

日常的には3列目シートは格納した状態が標準であるとしても、いざというシーンでは3列目もさほど極端な“我慢シート”ではないのは、新型ストリームの見逃せないセールスポイントのひとつだ。