時速200kmで接触寸前の編隊走行も!エンジニアの運転スキルを高める「スバル・ドライビング・アカデミー(SDA)」(3/3)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:富士重工業株式会社・オートックワン編集部
半周毎に路面μが異なる「定常円旋回」
続いて、BRZに乗り換えてウエットコースでの定常円旋回だ。
FRを学ぶためには基本的なトレーニングだが、スバルの定常円(20R)は半周ごとで路面μが異なるので、路面変化を感じ取りながらコントロールを行なう必要もある。
以前、同業者の先輩に「定常円旋回はフロントタイヤのグリップを感じることが大事、サイドブレーキでキッカケを作るなんて低次元な事をするな。コントロールはステアリングでなくアクセルで」と教わったことがあるが、その時の教えを思い出しながら走るも毎回同じように走ることができず反省・・・。
悔しくて「もっと走らせて!!」と懇願したくらい。「もっと練習しなければ!!」と誓った。
ジムカーナでは、SDA受講生からの的確な指摘に反省・・・
そして最後は、総合的なスキルを発揮できるようにレイアウトされた特設コースを用いたジムカーナだ。
当然“気合”や“根性”で速く走ることはできず、コースを見極め、クルマと対話をしながら限界を掴み、メリハリをつけながらもスムーズに走らせることが好タイムに繋がる。
実は筆者はその回の一番時計を記録したが、上手く纏めた1回目に対し、2回目はタイムアップの欲が出てしまい、突っ込みすぎのドアンダーでタイムダウン。
SDA受講生にも「邪念が出ていまい、ドライビングが雑になってしまいましたね」とバレバレ。ちなみに45~50秒程度のコースでSDA受講生とは約1.5秒の差があり、まだまだ精進が必要だと再び反省(汗)。
スバルがスバルであり続けるために必要な「SDA」
カリキュラムも終え、最後に新型インプレッサの開発責任者である阿部一博氏に話を聞いてみたが、「新型インプレッサはSGPとSDAにより、『安心と愉しさ』を更に加速させています。絶対性能はもちろんですが、現行レガシィで掲げた『動的質感』の部分も徹底的にこだわっており、様々な計測技術も活用しましたが、計測機では測りきれない過渡領域評価は“人の力”が大きいですね。SDAのメンバーにも頑張ってもらいました」と語る。
近い将来、自動運転が実用化されると思うが、そんな時代だからこそ「人がどう感じるか」が重要となってくる。スバルがスバルであり続けるために、SDAは重要な鍵となるだろう。今後、スバル車に乗って「以前よりもいいクルマになったよな!!」と感じたなら、それはSDA効果と言っていいかもしれない。
最後に一つ提案を。このSDAを一般ユーザー向けにも展開してみてはどうだろうか?
「作り手」と合わせて「乗り手」もスキルアップしていくことができれば、よりクルマに対する要求値も高くなるため、結果的に「いいクルマ」も生まれやすくなると思う。
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