BMWの王道・本流「3シリーズ」がマイナーチェンジ/BMW 新型 3シリーズ セダン/ツーリング 試乗レポート(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正・和田清志・ビーエムダブリュー
今や貴重な直列6気筒エンジンを搭載
まずは「340i Mスポーツ」だが、前述のように直列6気筒の3リッターエンジンにターボを装着する。今は大半の6気筒エンジンが空間効率の優れたV型だから、直列は貴重な存在だ。回転感覚が滑らかで、ターボを装着しない自然吸気エンジンのように吹き上がる。欧州車には過給器をあまり意識させないエンジンが多く、340iはその典型といえそうだ。
動力性能は3リッターターボだから相当に優れている。最高出力は326馬力(5500回転)、最大トルクは45.9kg-m(1380~5000回転)で、後者の数値は自然吸気の4.5リッター並みだ。
特に低回転域の力強さに特徴があり、1500~2500回転付近で巡航していると、V型8気筒エンジン搭載車を運転しているような気分になる。車両重量は1660kgだから、V型6気筒の3.5リッターエンジンを搭載したクラウンアスリートと同程度だ。軽量ではないが、直列6気筒にターボを加えたことも考えると満足できる数値だろう。
Mスポーツ「ファスト・トラック・パッケージ」は上質なスポーツセダンだ
この適度な重さは、走行安定性や操舵感にも良い影響を与えた。駆動力の高いエンジンを搭載しながら、ボディ前側の重さを意識させない。操舵した時も小さな舵角から正確に向きが変わって車両との一体感を得やすく、運転の楽しさを感じる。この運転感覚はBMWの特徴で、今に始まった話ではないが、340iではさらに洗練されている印象を受けた。
試乗車にはファスト・トラック・パッケージ(28万円)が装着され、前後輪とも19インチタイヤを装着している(前輪:225/40R19・後輪:255/35R19)。そのために乗り心地は少し硬いが粗さはなく、BMWを購入するユーザーであれば許容できるだろう。
BMWらしいと感じたのは、高性能なエンジンを搭載しながら外観が比較的大人しいことだ。Mスポーツだから19インチタイヤを装着するが、特に高性能を誇示するデザインではない。こういった抑制の利かせ方も、大人のクルマ好きには魅力だと思う。
JC08モード燃費は13.5km/Lなので、優れた動力性能を考えると燃費効率も優れている。
[3シリーズの4WDはどんな特長を持つのか・・・次ページへ続く]
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