ホンダ ステップワゴン「激戦区に放った5代目の完成度」~岡崎五朗のクルマでいきたい(ahead)~
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激戦区に放った5代目の完成度
'96年の初代ステップワゴンは、ワンボックスカー(当時はそう呼ばれていた)の在り方をガラリと変えたエポックメーカーだった。
それまでの主流は、エンジンを室内側の床下に搭載し後輪を駆動するキャブオーバー型。そこに、シビックのプラットフォームを利用したFFレイアウトで戦いを挑んだのが初代ステップワゴンだったのだ。
FF化により床はフラットになり全席ウォークスルーを実現。エンジンを室内側から追放することで振動や騒音も大幅に改善された。その後、トヨタや日産がFF化に追随したのはご存じの通りだ。
その結果、このジャンルではセレナやノア/ヴォクシーといったライバルがシェアを増し、ステップワゴンの存在感は次第に薄まっていった。
そんななか、元祖の意地をかけて開発してきたのが5代目となる新型だ。
いちばんの売りはわくわくゲートと呼ばれるバックドア。大きなバックドアを開けるためには後方にかなりのスペースが必要だが、横開きの小さなドアを使えば気軽に開け閉め可能。
それでいて、大きな荷物の積み降ろしをする際には全体を縦開きにできる。なかなか面白いアイディアだ。
しかし、それ以上に感心したのがクルマとしての完成度の高さだ。内外装のデザイン、質感、静粛性、乗り味、走り味ともに頭一つ抜け出してきたなと思った。
なかでも注目したいのが1.5Lのダウンサイジングターボエンジンだ。このエンジンの最大の魅力は普段よく使う低中回転域で従来の2Lエンジンを上回るトルクを発揮すること。体感的には2.5L級のエンジンを載せたような余裕を感じる。
さすがにノア/ ヴォクシーのハイブリッド(日産セレナのハイブリッドは簡易型)と比べると燃費は落ちるが、価格差を考えれば大きな弱点にはならないだろう。
それより、ハイブリッド、非ハイブリッドを含め、クラストップの走りの爽快感を備えていることを僕は高く評価する。
ホンダ ステップワゴン
左右非対称のリアデザインが特徴の『わくわくゲート』は、通常通り縦に開けるのはもちろん、ドアの左側3分の2を横方向にも開口できる。荷物の出し入れのほか、乗り降りするためのサブドアとしての使用もイメージされている。設定はB/G/G・Xの3グレードで、Bを除くグレードで標準装備される。また、最新の安全装備「ホンダセンシング」は全グレードでオプション設定が可能。スポーティー仕様の「スパーダ」も同時発売された。
ホンダ ステップワゴン G/FF 主要諸元
車両本体価格:¥2,480,000(消費税込) / 全長 x 全幅 x 全高(mm):4,690 x 1,695 x 1,840 / 車両重量:1,650kg / 定員:7人 / エンジン:水冷直列4気筒横置 / 総排気量:1,496cc / 最高出力:110kW(150ps)/5,500rpm / 最大トルク:203Nm(20.7kgm)/1,600-5,000rpm / JC08モード燃費:17.0km /L / 駆動方式:前輪駆動
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