スバル フォレスターtS 試乗レポート/マリオ高野(3/4)
- 筆者: マリオ 高野
- カメラマン:和田清志
サスペンションは路面の追従性を向上
サスペンションについては、フロントのスプリング定数はノーマル比12%固められた一方、リアは7%下がっています。
車高は15mmダウン。重心の高いSUVゆえにフラフラした挙動にならないよう、ロール剛性を確保するためノーマルのダンパーの伸び側の減衰力は意外に高いということで、ダンパーの減衰力は、伸び側の微低速域は上げつつも中低速は30%下げられました。縮み側はほとんど変わっていません。
伸び側を動きやすくすることでタイヤが下に落ちやすい状態となり、路面の追従性が増すという理屈です。SUVのフォレスターはサスペンションストローク量が多いので、他のスバル車よりも追従性の向上幅は大きいのだとか。
エンジンとミッションの制御に手が加えられるのはtSシリーズでは初
ボディとシャシー系以外の大きな注目ポイントは、tSシリーズとして初めてエンジンとミッションの制御に手が加わったことです。エンジン出力などのスペックは変えずとも、アクセルを踏んだ時の楽しさと気持ちよさの向上をはかっています。
ただアクセルのレスポンスを鋭敏にするだけでは、アクセルを少し踏んだだけでガバッとスロットルが開く嫌な乗り味になってしまいますが、今回は先にミッションのクロスレシオ化をはかり、それに合わせたアクセル開度に調整されているので、自然なトルクアップ感が実現されています。
わずか300台のためにパワートレーンの制御を変更するのは、我々が想像する以上に大変なことのようですが、今年はレヴォーグやWRX、レガシィなど新型モデルが相次いで投入されたことにより、CVTのハードウェアの変更を最小限にとどめてソフトウェアだけでミッションの特性を別物に変えるノウハウが磨かれました。
ハードウェアを変えなくてもギアレシオを変えられるのはCVTの大きなメリットでもあります。スロットルの開き度合いに応じてトルクマップを変え、8速のレシオを合わせています。
AWDとはいえ、280馬力のターボパワーは唐突に炸裂すると低μ路では危険となるため、雪や雨、ドイツのアウトバーンなどで徹底的に走り込んだ上でのセッティングが施されました。
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