フォルクスワーゲン ゴルフR試乗レポート／岡本幸一郎(3/3)

「レース」モードでより刺激的なドライビングを楽しむ

ドライブモードの選択は、センターコンソールのタッチスクリーンで行ない、「エコ」、「ノーマル」、「コンフォート」、「カスタム」にゴルフR専用の「レース」を加えた5種類から選べる。

「レース」モードを選択すると、足まわりだけでなくエンジンレスポンスやシフトポイントも変わって、より刺激的なドライビングを楽しめる設定になる。

一方で、「エコ」モードでは空調の制御を省燃費にしたり、コースティング走行するなど環境への配慮もぬかりはないことをうかがわせる。

そんなゴルフRを、別の機会にサーキットで全開で走らせることもできたのだが、見事な走りぶりには舌を巻かずにいられなかった。絶対的な速さはもちろん、その懐の深さに感銘を受けたからだ。

ゴルフという枠の中で最高の性能を引きだした

コーナリング限界域での挙動変化が緩やかで、とても安定感が高いので、まったく不安な思いをすることなくコーナーに飛び込み、そしてアクセルを開けることができる。GTIも安定感は高いが、ゴルフRの操縦安定性とトラクションの高さは、さらに別格的だ。

前後アクスルに搭載された、さらなる進化を遂げた電子制御デフロック「XDS」は、コーナー内輪の荷重が減少して空転しそうな状態になると作動し、瞬時にトラクションを回復させてアンダーステアの軽減を図り、回頭性を高める。この効果は如実に体感できるもので、面白いほどよく曲がる。

ハイパワーながらジャジャ馬とは対極的な、秩序ある中で、極めて高い性能を誰でも楽しめるクルマである。このクルマの限界は、多くの人がイメージするよりもはるかに高いところにある。

このように、ゴルフという枠の中で考えうる最高の性能を引き出したのがゴルフRであり、そこに価値を見出す人にとっては他では代用のきかない存在に違いない。GTIとの約150万円という価格差は、けっして小さくはないが、その充実した内容と価値の大きさを考えると、十分に納得できるものといえそうだ。

フォルクスワーゲン ゴルフR主要諸元

全長 x 全幅 x 全高：4,275 x 1,800 x 1,465mm／ホイールベース：2,635mm／車両重量：1,500kg／乗車定員：5名／駆動方式：4WD／エンジン種類：直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ（4バルブ）／総排気量：1,984cc／最高出力：280ps(206kW)/5,100‐6,500rpm／最大トルク：38.7kg-m(380N･m)/1,800‐5,100rpm／トランスミッション：6速DSG／燃料消費率：14.4km/L[JC08モード燃費]／タイヤサイズ：225/40 R18／車両本体価格：5,298,000円[※価格は消費税込み]