トヨタ 新型 ハイエースバン スーパーGL[2013年秋 マイチェンモデル] 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
もはやミニバン並みの豪華仕様
マイナーチェンジしたハイエースバン スーパーGLの外観を見ると、商用車といえども見栄えが良くてワゴン車風だ。スーパーGLになると、フロントマスクにはメッキグリルが装着され、電動格納式ドアミラーもメッキされている。ヘッドランプはメーカーオプションのLEDタイプ、アルミホイールも同様にオプション装着されていた(価格は両方とも6万4800円)。
車内に入れば内装が上質で、乗用車ではお馴染みの自発光式のオプティトロンメーターを採用。スイッチ操作でエンジンの始動や停止が行えるメーカーオプションのスマートエントリー&スタート(3万4650円)も備わる。運転席と助手席の間には、容量の大きなセンターコンソールボックスを装着。夜間には天井のLEDダウンライトが、ボックスのあたりを照らし出す。
「スーパーGL」は2列目シートが豪華なつくり
運転席に細かな調節機能はなく、乗降性を考慮してサイドのサポートも弱めだが、座面の造りは適度に柔軟だ。背もたれの下側もしっかりと造り込まれ、長距離を移動する時でも不満は生じないだろう。
ハイエースバン スーパーGLは、商用バンでありながらリアシートも快適。NV350キャラバンと違い左右分割して個々に前に倒す機能もないが、座り心地にはほとんど遜色がない。
エンジンがフロントシートの下にあるため、リアシートに座った乗員が足を前に伸ばすことはできないが、足元空間に不足はない。床と座面の間隔も十分に確保され、着座姿勢も良好だ。座面の奥行寸法にも余裕を持たせ、背もたれの高さは少し低いが、4名で乗車して快適に移動できる。
その他のグレードは後席の安全性に難アリ!
シートアレンジも用意され、リアシートは前後に2段階、120mmスライドする。背もたれも後方に大きく倒すことが可能。フロントシートの背もたれも倒せば、前後席を連結してゆったりとくつろげる。車内の機能は、2列シートのミニバンという印象だ。
ただし、ハイエースバン スーパーGLとそれ以外のグレードでは、装備の格差が激しい。ベーシックなDXでは、リア側のシートベルトすら標準装着されず、オプション設定になる。両側は3点式、中央は2点式で、2列シート仕様のリアシート用ベルトはオプション価格が1万5120円。3列シート仕様の2/3列目でも3万240円だ。シートの造りも簡素で、ヘッドレストも付かない。
ハイエースバンは3~4名の乗車で高速道路を走ることも多いから、これではトヨタが安全に無関心なメーカーだと受け取られてしまう。ちなみにNV350キャラバンでは、リア側のシートベルトも標準装着している。ハイエースも同様にすべきだ。
ハイエースバン スーパーGLに話を戻すと、荷室は後輪が収まるホイールハウス以外はフラットに仕上げられ、リアシートを使った状態でも奥行は1855mmに達する。商用車としての実用性は高い。
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