アルファロメオ 4C 海外試乗レポート/西川淳(1/3)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:フィアット クライスラー ジャパン
4Cは「実現のスーパーカー」
ミドシップ2シータースポーツカーのアルファロメオ「4C」において、声を大にして語るべきポイントは3つある。
正にイタリアンビューティというべきスタイリングと、パワーウェイトレシオ4kg/ps以下を目指したというパフォーマンス、そして、何と言ってもプライスだ。
聖地バロッコ(古くはアルファロメオの、そして今ではフィアットグループのプルービンググウランド施設のある街)で開かれたカンファレンスで、アルファロメオの開発陣は何度もこうアピールした。 4Cは「実現のスーパーカーである」と。
全く新しいデザインであるにも関わらず、どこからどう眺めてもアルファロメオだ。
デザイナーは、たとえばティーポ33やディスコボランテ、スプリントスペチャーレ、そして8Cコンペティツィオーネといった過去の名車からの“影響”を語ったが、それこそ“ヘリテイジの成せるワザ”であろう。ボディサイズは全長3989×全幅1864×全高1183mm、ホイールベースは2380mmで、ロータスの新型「エキシージ」とほぼ同じという小ささである。
軽量化のため見栄えにはさほどこだわらなかった
インテリアはどうか。デザインはシンプルでスポーツカーらしいものだ。けれども、はっきり言って、その見栄え質感はチープのひとこと。いいな、と思ったのは、ステアリングホイールとシート、そしてドアハンドルやサイドブレーキといった“身体の触れる”パートのみ。
エンジニアはこう主張した。「軽量化のため見栄えにはさほどこだわらなかった」と。
ちなみに、トランクスペースはリアのみ110リットルで、機内持ち込みサイズのゼロハリバートンがちょうど一個収まる容量であった。
そう、すべては軽量化のために。アルファロメオがより多くのスポーツカー好きのための“実現のスーパーカー”を作るべく、最も注力したのがそれだった。軽量化はそれ自体、経済性、効率性、環境性への貢献であって、しかも高性能化にも結びつく。
それはストイックなまでに徹底されており、そのことは、インテリアのチープさや、いまどきダンパーのないエンジンフード、極力飾りを廃したSMC成型樹脂のボディパネル(前後バンパーと前フェンダー以外)などによく現れている。
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