フォルクスワーゲン クロストゥーラン 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
クロストゥーランの1.4TSIは2.4リッタークラスに匹敵
タイヤサイズの効果も含め、試乗チェックを行うことにした。
エンジンは1.4リッターのTSIで、ターボとスーパーチャージャーを併用する「ツインチャージャー」と呼ばれるタイプ。最高出力は140馬力(5,600回転)、最大トルクは22.4kg-m(1,250~4,000回転)だ。
エンジンの基本メカニズムはゴルフのハイラインと同じだが、最高出力は20馬力、最大トルクは2.1kg-m低い。このツインチャージャーの低過給圧仕様は、発売当初のゴルフトゥーランTSIトレンドラインにも搭載され、1,500回転付近のノイズと振動が気になった。
低回転域の過給はスーパーチャージャー、高回転域はターボが担当するから、前者の特性に不満があった。クロストゥーランでも同じ回転域をチェックしてみたが、もはや不満は感じない。最大トルクを1250回転から発生させる設定からも分かるように、発進直後でも十分な駆動力が立ち上がる。感覚的には2.4リッタークラスのノーマルエンジンに匹敵する動力性能だ。
車両重量は1,580kgと少し重いが、ギヤ比の割り方が細かな7速タイプのDSG(マニュアルトランスミッションをベースにしたツインクラッチ方式のAT)を採用することで、エンジンの動力を有効活用できる。
最高出力の発生が5,600回転だから、数値上は吹け上がりの良いエンジンとは思えないが、実際に試すと4,000回転を超えた領域の回転上昇も活発。3名で乗車して登坂路で発進加速を試したが、力不足を感じることはない。
ゴルフトゥーランよりも硬めな乗り心地
乗り心地は硬めだ。バタバタした粗さはなくサスペンションは相応に伸縮しているが、時速50km以下で市街地を走っていると振動が大きく感じる。
特に注意したいのがリアシート。
2列目はミニバンの「特等席」だが、けっこうな硬さを感じる。シートも硬めで座面が沈みにくいから、体感の度合いが強調されやすい。この乗り心地には17インチタイヤの採用、扁平率が前輪側の50%に対して後輪側は45%という、前述の「積載対応」も関係がありそうだ。
ちなみに、標準ボディとなるゴルフトゥーランが装着するタイヤは、前後輪とも16インチの205/55R16になる。ミニバンという車両の性格、過度に重い荷物は積まない日本における一般的な使われ方を考えると、ゴルフトゥーランの16インチの方がバランスは良さそうだ。
サスペンションも少しソフトな設定で、クロストゥーランのような硬さは感じない。従って購入を希望しているなら、両車を乗り比べて判断したいところだ。
クロストゥーランとゴルフトゥーランの乗り心地の違いは、ディーラー周辺をひとまわりする程度の試乗でも十分に把握できるだろう。
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