三菱 ekワゴン 試乗レポート

  • 筆者: 竹岡 圭
  • カメラマン:原田淳
三菱 ekワゴン 試乗レポート
画像ギャラリーはこちら

正常進化を望んだ、eKらしいフルモデルチェンジ

シンプルでクリーンなデザイン。いわゆる「ゆるい」と称されるスタイリングと、確実な運動性能がウケて、大ヒットとなった初代eKワゴン。そのeKワゴンをベースに、ターボモデルのeKスポーツ、上質感をウリにしたeKクラッシィ、SUV風のeKアクティブなど、兄弟車種も登場し、一大eKファミリーを構築。21世紀に入って出てきた新しいカテゴリー、セミトールワゴンの先駆者となって君臨したのは記憶に新しいところ。

そのeKワゴンがフルモデルチェンジを受け、今回はeKスポーツも同時にデビューすることになった。ところが、スタイリング的にはパッと見あまり変わらないという声多数。わかるのは、今回の目玉の左リアの電動スライドドアくらいなんていう声も聞こえてくるが、実はルーフを除けば外板だってすべて変更されているのだ。大変化ではなく、弱点を克服するという正常進化を望んだ、eKらしいフルモデルチェンジなのである。したがってセミトールワゴンというスタイルも、シンプル&クリーンというコンセプトもまったく同じだ。

電動スライドドアはかなり嬉しい装備間違いナシ

さて、目玉となる電動スライドドアだが、セミトール型軽自動車としては初の試みである。特徴はインナーレール方式を採用していることだ。全長が短いセミトール型軽の場合、通常のミニバンのようなアウタースライド方式だと、開口部が限られてしまう。ギリギリまで開口部を広く取るためには、インナースライド方式を採用するしかないというワケで、あえて採用の難しいインナースライド方式を採用したというわけなのだ。

その結果、レールが見えないので、見た目がキレイなのも高ポイントだが、開口部の大きさも開口幅530mm、開口高1005mmを確保。地上高も380mmと低いので乗り降りもラクチン。幼児からご年配の方まで、身長175cmくらいまでの人がラクに乗り降りできるスペースを確保できたのだ。20cmの余裕があれば乗り降りできるというのは、狭い街中がメインとなる軽自動車となればこそ、ものすごく便利である。機動力の高さが格段に違ってくるだろう。また、小さいお子様がいるママさんにとっては、かなり嬉しい装備間違いナシだ。

後席の乗り心地は、軽ナンバー1

運動性能に直接かかわる、シートポジションも見直しが図られている。先代では前方上方視界がよくないという声があったので、ヒップポイントを10mm下げ、またスライド量も2ピッチ分増やし、それに合わせてステアリングの位置も10mm後退&5.5mm外側へずらすなど、本当に細かい調整が行われ、より幅広い体格の人へベストマッチするよう気遣われているのだ。

そして、走りのフィーリングは、eKは先代よりもさらに乗り心地の向上を目指したもの。実際特に後席の乗り心地は、軽ナンバー1といっても過言ではないだろう。しかしフワフワといったものではなく、きちんとドライバーの意思どおりに曲がる、止まるといった動きをしてくれる、素直なものに仕上がっているのが走りへの妥協は許さないeKらしい。

続いてeKスポーツのほうは、先代よりもさらなるスポーツ性能を追及するのではなく、楽しい走りと良好な乗り心地を両立するフィーリング。つまりちょっと大人になったのだ。先代のeKで培ったイイトコ取り+αで、走り出しなどのジャジャ馬らしさはキープしつつ、より安定性を高めているので、実はさらに攻められるレベルに仕上がっている。それでいて乗り心地は先代よりイイときているのだから、かなりのハイレベルだ。パワートレイン的には先代の動力性能をキープしつつ燃費や排ガス性能を向上させるということで、4ATにロックアップ機構を追加したり、触媒の容量を小さくしつつ性能を上げるなどといった改良が図られているが、アクセルペダルに呼応するリニアなフィーリングなどを見ると、さすがeKと頷かされる仕上がりだ。

カッコよさと同時に機能も織り込まれているeKスポーツ

今回のeKワゴンとeKスポーツの違いは、まずスタイリング。そしてeKスポーツにはターボモデルが用意されていると思えばわかりやすいだろう。eKスポーツには電動スライドドアの設定はないが、eKスポーツのデザインにはカッコよさと同時に機能も織り込まれている。例えば、軽自動車初のLEDリアコンビランプ、明るいプロジェクター式ディスチャージヘッドランプ、ディフレクター機能付きリヤスポイラーなど。いずれも視界の確保に役立ってくれるものだ。

また、すべてのガラスに赤外線カット素子を練りこみ、全方位UV&ヒートプロテクトガラスが採用されているのも女性にとっては嬉しい装備と言える。その他、ユーティリティ面でも凝っている。センターパネルにパールホワイトやダークグレーメタリックを採用するなど、質感を出しているのはわかりやすいところだが、目玉はマルチユースフックだろう。助手席後ろのバーにフックを引っ掛ける方式になっているのだが、このフックは別売りで販売されているので、好きなものに取り付けられるのである。これは今までにない新発想だ。万が一ぶつかってしまっても、ヒューズ方式になっているので壊れないというのも嬉しい配慮である。ちなみに前席センターにあるプチゴミ箱も同じフックで取り付けられているので、助手席後ろへの装着も可能と、自分次第にアレンジできるので楽しみが広がりそうだ。

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

竹岡 圭
筆者竹岡 圭

OLを経て、自動車専門誌を皮切りに、モータージャーナリスト活動を開始。国内外のレース、ラリーなど自らモータースポーツ活動に関わりながら、海外のモーターショーを精力的に回るなど、なにごとにも積極的に取り組んできた結果、近年は一般誌、女性誌、Web媒体、新聞、TV、ラジオなど、その活動はとても多彩なジャンルに広がっている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

三菱 eKワゴンの最新自動車ニュース/記事

三菱のカタログ情報 三菱 eKワゴンのカタログ情報 三菱の中古車検索 三菱 eKワゴンの中古車検索 三菱の記事一覧 三菱 eKワゴンの記事一覧 三菱のニュース一覧 三菱 eKワゴンのニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる