プジョー 1007 試乗レポート

  • 筆者: 松下 宏
  • カメラマン:原田淳
プジョー 1007 試乗レポート
画像ギャラリーはこちら

コンパクトカー初の両側スライドドア

プジョー1007は新時代のプジョー車として位置づけられるクルマだ。その証拠に1007という4桁の車名が採用されている。プジョーはしばらく前から、 206や307など、中央に0を置いた3桁の数字で車名(銘柄)を表現していたが、今回の1007ではプジョーとして初めて4桁の車名を採用しており、新しいシリーズであることが強調されている。同時に最初の数字が1であるのはプジョーのラインナップの中でベーシックラインを受け持つコンパクトカーであることも示しており、最後の7は106に次ぐモデルであること示すものだ。

1007のボディは3ドアのハッチバックだが、普通のハッチバック車ではない。全高が1630mmに達する背の高いパッケージを採用するとともに、ボディの両側を電動式のスライドドアとした点にある。日本でもトヨタのポルテのように左側に電動スライドドアを採用した例はあるが、運転席側のドアもスライドドアというのはコンパクトカー市場で初めてのものだ。

1007は2002年のパリモーターショーに出品されたコンセプトカーのセサミをベースにしたもので、現地では2004年秋のパリショーで市販車が発表されている。日本仕様の搭載エンジンは1.4Lと1.6Lの2機種で、2トロニックと呼ぶフルAT機能を備えた5速MTが組み合わされる。全車とも右ハンドルだけの設定である。

ピニンファリーナ社とのコラボは注目の的

プジョー1007のスタイルは、写真で見るよりも実際に見たほうが強い存在感を感じると思う。今回横浜のみなと未来地区をベースに試乗会が開かれたが、横浜市内の街中や首都高などを走ると、ほかのクルマや歩行者からからたくさんの視線を集めた。それくらいに目立つクルマである。

外観デザインはプジョーとピニンファリーナ社とのコラボレーションによるもので、ともすればかっこ悪くなりがちな背の高いパッケージを上手に躍動感のあるものにまとめている。大きく開いたフロントグリルは407やマイナーチェンジを受けた後の307など、最近のプジョー車のデザインの流れを受け継いだものだ。

全長が3730mmほどのコンパクトなボディでありながら、ひとクラス上の室内空間を確保したのも注目される点。インテリアデザインはシンプルかつ機能的なものであると同時に、カメレオコンセプトによってドアトリムやシート表皮などの色を簡単に変更できる仕組みが採用されている。インテリアをカスタマイズできる新しいアイデアだ。

ストレスのない走り

プジョー1007には2機種のエンジンが搭載されているが、今回試乗したのは1.6Lエンジンの搭載車。排気量が異なるだけでなく、外観や装備などの面でも違いが設けられており、充実した仕様が用意されるモデルだ。

80kW/147N・mのパワー&トルクはまずまず平均的な実力だが、低速域でのトルクを重視したチューニングにより、このクラスとしてはやや重いボディをけっこう良く走らせてくれる。両側電動スライドドアは、ドア本体はもちろんスライドさせるレールや枠組みなどによって重くなるのだが、それを苦にしない走りを示してくれる。

自動5速の2トロニックはいわゆるマニュアル・オートマと呼ばれているもので、ヨーロッパのコンパクトカーに幅広く採用されているのと基本的に共通だが、プジョーとして初めての採用になった。これまでのマニュアル・オートマは、デキの良い日本車のATに慣れたユーザーにとっては変速ショックの大きさが不満だったが、今回のプジョー1007の2トロニックはショックを抑えた滑らかな走りを実現している。発進時に全開加速するときなどを除けば、ATモードのままで違和感なく走らせることが可能だ。

装備を考えると納得プライス

プジョー1007の価格はベースモデルの1.4が199万円、排気量が大きくなって装備も充実した1.6は229万円と同排気量のコンパクトカーとしてはちょっと高め。同じプジョーの206と比べても同排気量で比較して高めの価格が設定されている。これは両側電動スライドドアなどの仕様によるもので、止むを得ないものなのだが、単純に輸入車のコンパクトカーと比較すると辛い面はある。

ただ、両側電動スライドドアによる乗降性の良さを始め、1007ならではの魅力となる要素はいろいろあり、それらを踏まえてどう選ぶかになるだろう。

1.4と1.6の装備や仕様面での違いは、外観上に細かな違いが設けられているほか、アロイホイールの有無、エアコンのオート機能、雨滴感知オートワイパーの有無などがある。これらを含めて30万円の価格差だ 。 1.4には試乗していないので走りを含めて比較することはできないが、1.6に乗った印象からすると1.6のほうがお勧めだと思う。オプションで横滑り防止装置のESPを装着できるのが1.6だけというのも1.6がお勧めとなるポイントだ。

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

プジョー 1007の最新自動車ニュース/記事

プジョーのカタログ情報 プジョー 1007のカタログ情報 プジョーの中古車検索 プジョー 1007の中古車検索 プジョーの記事一覧 プジョー 1007の記事一覧 プジョーのニュース一覧 プジョー 1007のニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる