トヨタ GRMN iQスーパーチャージャー 試乗レポート／松田秀士(3/3)

スーパーチャージャーとは思えないほどの高回転域でのレスポンスの良さ

「GRMN iQスーパーチャージャー」の試乗ステージは、ショートコースとはいえサーキットだ。目一杯、アクセルを踏みつけられる。

まず、コーナーの立ち上がりで簡単にエンジンの回転リミッターが作動してしまうのが、ダッシュボードに追加された、視認性の良い丸型タコメーターで確認できる。

スーパーチャージャーとは思えないほど、高回転域のレスポンスが良い。

どうやら、「低中回転重視で高回転は無視」というスーパーチャージャーの常識とは程遠い性格を持ったスーパーチャージャーらしい。構造的にターボに近いことも影響しているようだ。

もうひとつ、シフトアップ時にも気を付けないとすぐにリミッターが作動する。これには訳があって、6速のギヤ比がクロスしているのだ。

ノーマルiQの5速がiQスーパーチャージャーの6速になり、ノーマルiQの4速と5速の中間がiQスーパーチャージャーの5速。そしてノーマルiQの3速がiQスーパーチャージャーの4速、ノーマルiQの2と3速の中間がiQスーパーチャージャーの3速。ノーマルiQの1と2速の中間がiQスーパーチャージャーの2速。そして1速は同じギヤレシオに設定されている。

解読に少し時間が掛かるだろうが、思いきってクロスさせていることが見てとれる。

加速時のギヤの繋がりが良く、コーナーリングでの低速時にルーツ式に比べて過給が弱い遠心タイプのスーパーチャージャーの弱点を補っているのだ。そのシフトフィールも、わかりやすく扱いやすいものだ。

バックシートの角度調整が可能な豊田紡織製のバケットシートはかなりホールディングが良く、デザインアイテムとしてもレーシーでお洒落だ。また、インテリアもアルカンターラや色彩の使い分けがとてもスポーティで高級感がある。

100台の限定販売は、まずインターネット上で販売交渉整理券を発行するそうで、まずこの整理券を手に入れない限り直接ディーラーに行っても手に入れることは難しそう。

おそらく、100台はあっという間に完売するに違いない。

こんな遊び心満載のモデル、これからもどんどん造ってもらいたいものだ。

GRMN iQスーパーチャージャー スペック

ベース車グレード：

iQ 130G MT→（ゴー）

車両重量：

990kg

エンジン型式：

1NR-FE

総排気量：

1.329L

最高出力：

95kW(130PS)/ 5,200r.p.m.

最大トルク：

180N・m(18.3kgf・m)/ 4,400r.p.m.

燃料供給装置：

電子制御式燃料噴射装置(ＥＦＩ)

車両寸法：

全長：3,140mm×全幅：1,705mm×全高：1,470mm

ホイールベース：

2,000mm

乗車定員：

4人

駆動方式：

2WD（前輪駆動方式）

トランスミッション：

6MT