ルノー 新型 カングー ゼン 6MT[1.2ターボ] 試乗レポート/藤島知子(2/4)
- 筆者: 藤島 知子
- カメラマン:茂呂幸正・オートックワン編集部(カングージャンボリー会場)
乗る人の想像をふくらませ、深い愛着を生み出してくれる「遊びの空間」
そもそも、カングーは、フランスでは貨物車として活躍する“カングー エクスプレス”の派生モデル。その荷室空間は、ユーロパレット(800mm×1200mm)の輸送用パレットを載せる基準で設計されているということで、大きめの荷物が積み込みやすい設計になっているそうだ。その乗用モデルとして、ドアの内張りやシートのファブリックをお洒落に仕立て、ひとクラス上の装備を加えたのが日本でお馴染みの乗用モデルのカングー。それだけに、使い勝手の幅がファミリーユースからキャンプやマリンスポーツまでと、多彩に広がるのも頷ける。
カングーはスペースユーティリティの実用性がすこぶる高い上に、デザインやカラーリングのセンスがいいので、本来は実用性重視のクルマでありながら、日常生活にもお洒落に溶け込む。
カングーを自分色に染めて楽しむユーザーたちに共感
さらに、カングーが長きにわたって愛されてきた理由のひとつには、使い手次第で自分色に染められるところにもある。
「カングージャンボリー2014」会場にやってきたカングーオーナーたちを見ていると、大型犬を飼うファミリーが荷室部分に柵を設けて愛犬の居場所を作っていたり、キャンプの荷物を積みやすいように自作の棚を固定したり、ルーフキャリアに自転車やカヤックなどの趣味の道具をくくりつけている人もいる。また、カングーに由来する自作のアイテムを飾って、ポップで楽しいインテリアを演出する人もいた。
運転する人だけでなく、一緒に乗る人たちの想像力までかきたてる“遊びの空間”こそがカングーならではの醍醐味であり、我が家のペットのように愛着がわく理由でもあるようだ。使い手がクルマと関わる余地が残されているところは、智恵を使って道具を使いこなすことに喜びを感じる人間冥利に尽きるところでもある。少々アナログ的ところはあるが、メーカー側が使い勝手を研究し尽くして、ハイテクな装備を提案する日本のミニバンとはちょっと様子が違っている。
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