40年ぶりに復活した新型アルピーヌ A110試乗! WRCで名を馳せた初代A110の再来(3/4)

  • 筆者: 嶋田 智之
  • カメラマン:アルピーヌ・ジャポン
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走るとビックリ!スポーツカーとは思えない滑らかな乗り心地

走りはじめて最初に驚かされたのは、乗り心地のよさだった。しっかりとしたボディによく動く脚。この手のクルマにしては柔らかいバネとダンパーがしっかりと仕事を果たしていて、多少の路面の粗さなら全く気にならないほど滑らかに走り抜ける。

バケットのわりには居心地のいいシートも、それには大きく貢献してるといえる。街中や郊外の道を流して走っていても、至極快適。小さなスポーツカーなのに高級感さえ感じられる。車内にはほとんど荷物を置くためのスペースはないが、フロント・フードの下に100リッター、リアのフードを跳ね上げれば90リッターのブート・スペースが現れるから、グランツーリスモ的な使い方にも楽々応えてくれることだろう。

エンジンのフレキシビリティの高さも効いている。扱いづらさというものが全くない。低回転域から豊かなトルクを絶え間なく提供してくれるし、DCTの変速もかなりスムーズだから、街中を静かに走り抜けていくような場面でも何ひとつ気づかいなど必要ない。快適にコンビニまで買い物に行って帰って来られるだろうし、ゆったりした気分で温泉まで旅してくることだってできる。日常性というものを無視していないのだ。

だが、このエンジンの最大の美点はそこではなかった。右足にチカラを込めてみると、すぐに解る。ターボの存在をほとんど意識させない勇ましいレスポンス、どの領域からでも豊かに湧いて出るトルク、直線的に立ち上がって谷間もなく伸びていくパワー。スーパーカーのような途轍もない速さを味わわせてくれたりするわけじゃないが、車体の軽さとの連携で、ドライバーをたっぷり興奮させてくれるぐらいには速い。

慣れれば元気よく走りたいときにアクセルペダルを踏みきれるぐらいのパフォーマンスであり、踏み切った辺りがちょうど楽しいスピード、といっていい。奏でてくれるサウンドも、それは美しいというには無理はあるが、気持ちのいい4気筒エンジンらしい歯切れのいいリズミカルな音質で、気分を掻き立ててくれる。そういえば、初代A110のサウンドもこんな感じだった。

ハンドリングはライバル達より頭一つ飛び抜けた

けれど、強烈に「これはA110なんだ!」と感じさせてくれたのは、期待感を込めて想像していたとおり、やはり“曲がる”ということにまつわる大きな喜びだった。ステアリングは正確で、切れば切った分だけ曲がる。常にタイヤやボディがどんな状態にあるか、はっきりとインフォメーションを伝えてくる。身のこなしは胸がすくほど軽やかで、あっさり興奮させられてしまうほ俊敏だ。それはもう感動的とすらいえるレベルにある。

フロント・タイヤはどんな状況でも常に路面と正しいコンタクトをとり続け、変なプッシングアンダーを感じさせることもなく、極めて自然にニュートラルにコーナーをクリアしていく。腕に覚えのある人なら、荷重のかけ方をかえてオーバーステアに持ち込み、それを利用しながら曲がっていくような走り方をそう難しくなく堪能することだってできる。

走行モードをノーマルの状態でコースを元気よく走ってみても、リアタイヤはほとんど乱れることはなく、スポーツにセットすると僅かにスライドはするものの比較的早い段階で制御が効いてくれて、トラックに切り替えるとそれなりにスライドを許してくれた後、最終的には横方向の動きを制限してくれるから、慣れさえすれば、ESPの解除ボタンを押して初代A110のラリーシーンを地でいくような綺麗なドリフト走行を楽しみ尽くすことだってできるだろう。何せ新型A110、リアタイヤがグリップを手放していくときの動きが極めて掴みやすいうえに、スロットル操作に対するエンジンの反応もいいしステアリングも正確だから、その後のコントロールがしやすいのだ。

思い出すまでもなく、初代A110もそうした走りの個性を持っていた。僕は古くからのアルピーヌ・ファンだから、もう感涙モノである。しかも新世代のA110は、それをさらに高次元で味わわせてくれるのだ。旧き佳きA110を知らない世代にとっても、存分に感動できるに違いない。ここには心底惚れ惚れさせられた。ハンドリングに関しては、並み居るライバル達より頭ひとつ飛び抜けた感じすらある。ファンタスティック! なのだ。このドラマティックな走りのテイストさえあるなら、500psも600psも700psも、僕はいらない。

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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