“100年も前”からハイブリッド技術を考えていたポルシェの「e-mobility」を読み解く(1/2)

  • 筆者: 清水 和夫
  • カメラマン:ポルシェ ジャパン
“100年も前”からハイブリッド技術を考えていたポルシェの「e-mobility」を読み解く
1900年に発表された世界初のハイブリッド車「ローナーポルシェ」 ポルシェ パナメーラS Eハイブリッド ポルシェ カイエンS Eハイブリッド ポルシェ パナメーラS Eハイブリッド 1900年に発表された世界初のハイブリッド車「ローナーポルシェ」 ポルシェ パナメーラS Eハイブリッド ポルシェ パナメーラS Eハイブリッド ポルシェ カイエンS Eハイブリッド ポルシェ カイエンS Eハイブリッド 画像ギャラリーはこちら

1900年のパリ博覧会には、すでにハイブリッド車が出展されていた

1900年に発表された世界初のハイブリッド車「ローナーポルシェ」

ある書物を読んでいたら面白いドイツ語に遭遇した。「アウフヘーベン(Aufheben)」という哲学用語だ。日本語では「止揚(しよう)」と訳される。その意味を分かりやすく説明すると「相反する考え方があるとき、両者をより高い次元で解決すること」。つまり二者択一ではなく「同時解決」なのである。

この「アウフヘーベン」は理解しにくい概念だったが、最近の自動車技術では実に多くの「アウフヘーベン」的な事象が起きているではないか。その典型的な例がハイブリッドだ。

内燃エンジンとモーター駆動は根本的には異質な性能である。モーターだけでは自動車ユーザーを満足させることができないし、エンジンだけではエネルギー効率が悪く、排ガスの問題も残る。

しかし、モーターと内燃エンジンがコンビを組むと、実に多彩な能力を発揮する。それがハイブリッドなのだ。

スポーツカー専門メーカーのポルシェがハイブリッドにこだわるにはそれなりの理由がある。創業者のポルシェ博士はエンジン車がヨチヨチ歩きの時代からスピードを追い求めていたが、19世紀末のガソリンエンジンは燃費も悪くパワーも足りなかった。

そこで考えついたのがハイブリッド技術。1900年のパリ博覧会に出展した「ローナーポルシェ」という名前のプロトタイプのハイブリッド車が、自動車メーカーとしてのポルシェが世に知られるきっかけとなった。

エンジンの持つ巨大な力と電気モーターの持つ効率を高い次元で両立させるという考えを、ポルシェは100年も前から持っていたことになる。エンジンはどんどん進化しているが、それでもなお熱を大気に捨てていることを考えると、効率はもっと高められるはずだ。

ハイブリッド技術は、まさに「アウフヘーベン」

ポルシェ カイエンS Eハイブリッド

さらに「モーターでなければ絶対にできないことは何か」を考えていくと、「回生」という機能に行き着く。

ブレーキは制動の際に熱を発する。言い換えれば、運動エネルギーを熱に変換して大気に捨てているので、モーターが発電機となって“運動エネルギー”を“電気エネルギー”に変換できれば、エネルギーを無駄に捨てることがない。

すなわち回生ブレーキは制動性能と発電性能を同時に発揮するものだ。

また、エンジンは回転が低いうちからパワーが漲るわけではないが、モーターならスイッチを入れた瞬間に最大トルクを得ることができる。だから、エンジンとモーターを組み合わせると、1+1が2ではなく、3にも4にもなるような偉大な仕事が可能となる。ハイブリッドとはまさに「アウフヘーベン」なのだ。

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清水 和夫
筆者清水 和夫

1954年生まれ。1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースで活躍する一方、モータージャーナリストとして、自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。近年注目の集まる次世代自動車には独自の視点を展開し自動車国際産業論に精通する。一方、スポーツカーや安全運転のインストラクター業もこなす異色な活動を行っている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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