フランクフルト・モーターショーに見る電気駆動の未来(1/2)
- 筆者: 清水 和夫
ポルシェが用意した隠し球「ミッションE」
モーターショーの華と言えば、やはりコンセプトカーだろう。クルマ好きをワクワクさせるようなスタイリングはもちろん、われわれメディアにとっても時代の先を読むという点において、各メーカーがどのような方向に向かっているのか理解しやすいのである。
その点で今回のショーではポルシェが用意した隠し球は我々を驚かせてくれた。コンセプトカー「ミッションE」は、アウディのお株を奪うような流麗な4シーターサルーンの姿を持ったポルシェ初のEV(電気自動車)である。
2つのモーターで前後輪を駆動する4WDは、最高出力は600ps超、0-100km/hは3.5秒をきるという。まさにスーパーEVと呼ぶにふさわしい内容である。当然このコンセプトEVのターゲットはアウディではなく、アメリカのベンチャーEVメーカー“テスラ”である。
急速充電15分、航続距離500kmのスーパーEVスポーツ
ボディはカーボンやアルミの組み合わせで構成され軽量化をはかると同時に、バッテリーを床下に積むことで低重心化し運動性能を上げた。
ポルシェに期待される運動性能という点でも、すでに「911」などの4WDモデルでトルクベクタリングの実績を積み上げているので、この「ミッションE」が実際に市販されたとしても旋回性能と加速性能を両立したスーパーEVスポーツとして満足のいく内容となるだろう。
航続距離は500kmを超えるというが、800Vの高電圧によって15分で電池容量の約80%に達する急速充電も可能だという。もちろん従来型の400V急速充電や非接触式の充電方法も備えている。
ポルシェが作るのなら、やはり日常の使い勝手に優れたハードユースに耐えられるEVになるに違いない、と夢想させてくれた。
一方で、ポルシェは守旧派の「911」ファンも驚かせるような、ダウンサイジング3リッター水平対向6気筒ターボエンジンもこのショーの直前に発表している。
実はワークショップに参加して助手席の試乗もしたが、NAエンジンのように高回転まで回り、これまでの「911」の溢れんばかりのパワーを得られることが確認できた。
前述のコンセプトEVも従来のEVの概念を捨てて、ポルシェらしい走りをきっと実現してくれるに違いない。
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