ポルシェ ボクスター 試乗レポート

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「ボクサー+ロードスター」 ハイパワーバージョンのボクスターS

ボクスターのハイパワー・バージョンとして1999年にシリーズに追加設定されたのがボクスターS。全長約4・3mの2シーター・ボディは“ボクサー+ロードスター”というネーミングも示すように当初からオープンの専用設計。シート背後に搭載されるポルシェ自慢の水平対向6気筒DOHCエンジンは、3・2リッター。最新のモデルは2002年のマイナーチェンジにより、それ以前のモデル+8psの260psという最高出力を表示する。

初の量産型水冷フラット6エンジン搭載車としても話題を集めたボクスターは、そのフロントセクションの構造を911(996型)と共有することでも注目を浴びた。ポルシェ車としては比較的リーズナブルな価格を実現させたのは、こうした“合理設計”の結果のお陰でもある。現在の絶好調な業績を生み出す原動力となったボクスターも誕生以来間もなく8年。「いよいよ2005年にはフルモデルチェンジが行われるのでは?」というのが専らの噂だ。

赤いブレーキキャリパーは『S』である証し

ボクスターS用の心臓が標準のボクスター比で32psと50Nm増しのパワー/トルクを生み出す秘密は、両者の排気量の違いにある。ボクスター用の2687ccに対してボクスターS用は3179cc。ただしBMW M3用の心臓が同様の排気量から340psレベルを発することを考えるとボクスターSのエンジンは、兄貴分である911に遠慮をしてか政策的に最高出力を抑え気味にしている、という印象も感じられる…。

MT仕様で静止から100km/hまでが5・7秒、最高速が264km/hという高度な動力性能に対応し、サスペンションやブレーキの能力もボクスターよりも当然強化。赤いブレーキキャリパーは『S』である証し。冷却能力を高めるべくフロントバンパー下部に口を開いた“第3のインテーク”も、『S』だけの装備となる。

強化されたブレーキフィールは感動モノ

ボクスターSのドライブフィールは痛快そのもの。ボディサイズや重量に対して「ちょっと大きめの排気量」がもたらす常に余裕に富んだ動力性能は、特に低回転域でトルクが不足がちだった初期の2・5リッター・モデルとは別物の走りのゆとり感を味わわせてくれる。ミッドシップ車らしい軽く素直な回頭感と、速度が増すにつれてフラット感を増して行く高速時の安定感を巧みに両立させているのもこのクルマの走りの売り物のひとつ。MTはボクスターに比べるとプラス1速となる6速仕様。ギア比がクロス化されたお陰でシフト時のパワーのつながり感も文句ナシ。ただし、オプション設定の18インチ・シューズを選択すると、特に低速域での乗り心地がかなりスポイルされるのは数少ないマイナス点だ。

強化されたブレーキフィールが感動モノなのもこのクルマの走りの美点。水平に沈み込むかのような姿勢のまま急速に速度を落とす様には、加速シーン以上の心地良さすら感じられる。

ボクスターらしさ、ポルシェらしさ

2・7リッターの“標準ボクスター”とボクスターS(6MT)との価格差は100万円。これまで述べてきたようにその差は主にエンジン排気量やブレーキシステムの違いに由来をするが、さらに標準仕様のシューズが前者では16インチ、後者では17インチになるなど、一部には装備の違いも含まれる。

個人的にはいずれのモデルでも「ボクスターらしさ、ポルシェらしさ」は色濃く味わえると思えるが、AT仕様を選ぶのではあれば2・7リッターのボクスターでも十分の印象。ちなみに0→100km/hの公表加速タイムはボクスターのMT車とボクスターSのAT車が全く同じでそれぞれ6・4秒。積極的なドライビングを堪能すべくMT仕様を選ぶのならオススメはやはり『S』。こちらは前述加速タイムが5・7秒へと短縮される。

ところで、日本のポルシェに共通のウイークポイントは純正のナビゲーションシステムが用意をされないこと。この点ではメルセデスベンツやBMWをはじめ、周辺ライバルに差をつけられているのが惜しい。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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