ポルシェ パナメーラ GTS 海外試乗レポート(2/2)

ポルシェ パナメーラ GTS 海外試乗レポート
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まるで、タキシードを気軽に着こなす強靭なアスリートのよう

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そんな情報を元に、「自然吸気エンジンを積むパナメーラの中で、最もハードコアなモデル」という先入観を持ってスタートした自分は、走り始めた瞬間にこのモデルが、圧倒的なまでの快適性の持ち主である事に驚嘆をした。

それは、これまで経験したどのパナメーラよりも、フラットでしなやかな乗り味を実現。すなわちそれは、紛れも無く「これまで自身が経験をしたあらゆるポルシェ車の中で、最上級の乗り味を備えたモデル」という事をも示している。

すでに紹介のように、このモデルはローダウンをされた専用チューニングの強化サスペンションを採用の上で、標準でファットな19インチのシューズを履く。それが、「ポルシェ史上で最も優れた快適性を味わわせてくれる」などとは当然予想をしていなかった。しかも、今回南スペインをベースに行われた国際試乗会に用意されたテスト車には、実はオプションの20インチ・シューズが履かされていたのだ。

が、そんなパナメーラGTSでしばらく走行を続けている内に、そうした好印象は単にサスペンションの動きがしなやかだから、といった理由だけには由来をしていない事に気がついた。

ポルシェ パナメーラ GTS

それは、瞬時に振動を封じ込めてしまう際立つボディ剛性感の高さや、かつてよりも路面とのコンタクト感を増したように思えるステアリング・フィール。さらには、今やトルコンAT式に全くヒケを取らない、微低速域でもごく滑らかな加減速をやって退ける“PDK”のマナーの良さなど、クルマ全体が生み出す走りの質感がどれもすこぶる上質である事によって成し遂げられているのだ。

すなわち、ポルシェ史上最良の快適性はGTSだからというわけではなく、「パナメーラというモデル自体の仕上がりがレベルアップをしたから」とも考えられる。

それにしても、このコンフォート性の持ち主であれば、まさに“GTカー”ならではの長距離一気乗りも楽々とこなせそう。となると、今度は100リッター(!)という巨大な燃料タンク容量も、実質的な意味を持って来るように思える。

ターボ・グレードと同等以上の最もスポーティなパナメーラ

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しからば、かくも上質な走り味を実現させたGTSは、もしかすると“曲がり”が不得手なのではないか!?

・・・と、そんな疑問を見透かすかのように、ポルシェはゴージャスなフル4シーター4ドア・ボディの持ち主でもあるこのモデルのために、本格的なサーキット走行セッションも用意をしていた。

実は、今回のテスト車は、先の20インチ・シューズの他にも、やはりオプション設定である“PDCC”や“PTVプラス”、“PDCC”などをフル装備状態としていた点は考慮の必要がある。

が、ピットロードを後にしてサーキットの本コース上へと躍り出たパナメーラGTSは、「それにしても!」というダイナミックな走りのポテンシャルを存分に披露してくれた。

標準装備されるスポーツクロノ・パッケージのスイッチで“スポーツ・プラス”のモードを選択すると、高Gコーナリングでも殆どロールを意識させないほど脚はかたくなり、“PDK”も常に高回転をキープするプログラムを選択。アップシフトの度に強い変速ショックが伝わるが、これは敢えて快適性を犠牲にしてでも加速力を優先させるセッティングを行ったからであるから。

ポルシェ パナメーラ GTS

“スポーツ”モードでは、アップシフト時の素早い「回転合わせ」のために行う燃料噴射と点火を共に休止するこのモデル用エンジン固有の“シリンダー・シャットダウン”の制御を、“スポーツ・プラス”モードでは敢えて再び解除するための現象だという。

それにしても、次々と迫り来るコーナーをとてつもなく高い旋回Gを発しながらクリアし、ターンインに先駆けてのブレーキングでは今度は気分が悪くなりそうなほどに高い減速Gを平然と発揮する様は、やはりこのモデルが「生粋のスポーツカー・メーカーの作品」である事を実感させられる。

「加速方向を除けば『ターボ』グレードと同等以上の最もスポーティなパナメーラ」という開発陣のコメントは、なるほど疑いようがないのだ。

「ONとOFFのメリハリ」

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そんなホットな走りを堪能させてくれたパナメーラGTSで、サーキットを離れて一般道へと乗り出す。と、そうした舞台では極上の乗り味を提供してくれる、ゴージャスなフル4シーター・モデルとしてのキャラクターが再び蘇る。そこでは、サーキットで暑い汗をかかされたスパルタンなスポーツカーとしての面影はもはやない。

標準装備のスポーツ・エグゾーストシステムのスイッチをOFFにすれば、インテークサウンドをAピラーを通じて敢えて室内へと響かせる“サウンド・シンポーザー”の作動が解除され、クルージング時のこもり音がグンと減じられるからなおさらだ。

そう、このGTSグレードならではの魅力というのは、パナメーラというスポーティな4ドア・モデルが備える「ONとOFFのメリハリ」が、より一層明確化される点にこそあるように思う。

まるでタキシードを気軽に着こなしてしまう強靭なアスリートのような二面性――それこそが、パナメーラGTSの真の魅力であるという事だ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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