“役付き”ポルシェの最高峰「911 GT3 RS」「ケイマン GT4」試乗レポート(2/5)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:阿部昌也・ポルシェジャパン
ターボ用ボディにレース仕様レベルの空力パーツを付加
911 GT3 RSは確かにGT3を発展させたものではあるのだけど、加えられた手数はちょっと半端じゃない。まず、ボディからして違っている。ワイドな911ターボ用のボディを使い、前後のトレッドを拡大。さらにルーフをマグネシウムで、フロントフェンダーや前後フードをカーボンであしらい、リアとリアサイドのウインドーをアクリル製へと変更し、トータルで10kgの軽量化も図っている。そのボディにマウントされている空力パーツも一新。フロントスポイラーはより低く広く構え、リアウイングはさらに高く大きく聳え立ち、フロントフェンダーの後ろ側には車体の下面に入り込んだ空気を吸い出すためのエアアウトレットが設けられた。結果、ダウンフォース量は倍以上、一説によればレース仕様車の80%ほどという物凄いレベルにまで達しているという。
パワーユニットはGT3の3.8リッターエンジンのストロークを伸ばして4.0リッターとするなどのチューンナップが行われ、25ps/2.0kgmのエクストラを得た500ps/46.9kgm。サスペンション周りも前後のスタビライザーを変更し、ダンパーを新設計し、スプリングも専用のものへと換え……と、GT3との相違点を並べはじめたらキリがない。ここまで来ると、これまでのノウハウを元にして全くイチからGT3 RSを開発した、といっても過言ではないかも知れない。
”普通の”911 GT3との違いはどこに・・・
タイプ991のGT3に試乗したのは、1年近く前のこと。そのときには、スタンダードなポルシェ911との速さに違いにマジメに驚かされたものだった。が、予想してなかったわけじゃないけれど、RSはそれ以上だった。
というと、いかにも……なのだけど、正直に告白するならば、最初のうちはGT3からプラスアルファされてるはずの速さの違いというものを、実はあまり感じ取れなかった。というのも、GT3は街中や高速道路を普通に走っていると、そのパフォーマンスからすれば拍子抜けするほど快適な部類で、RSもちょっとぐらいは固くなってるかも知れないけど同じような範疇。お決まりのワインディングロードに滑り込んでみて、それなりに踏み込んで走ってみても、エンジンはあらゆる領域で鋭さを見せてくれ、トップエンドに向かって秘めていたパワーを加速度的に膨らませていきながら、強烈な勢いでスピードに乗っていくという感じも、GT3からそう大きく変わっているようには思えなかったのだ。
[あまりの違いに、違うことすら気付かなかった!?・・・次ページへ続く]
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