ポルシェ 911ターボS 試乗レポート(2/3)
- 筆者: 森口 将之
フルスロットル時の圧倒的な加速は「この世のものとは思えない」
エクステリアはセンターロックの19インチアルミホイールと、隙間から覗くセラミックブレーキディスクが高性能を控えめにアピールする。
ところが2トーンのオールレザーインテリアは光り物が多くゴージャスで、ベントレーあたりを思わせる。カレラやGT3と同じボディを共用しているとは思えない。
ベースモデルのターボでも2,000万円を越えるだけあって、他の911とはやや違う客層をターゲットにしていることが、この内装からも分かる。
エンジンはいとも簡単に掛かり、過給機付きということもあってアイドリングは静か。
まずは、ゆっくりとスタートする。
ターボの癖はほとんどなく、大排気量の自然吸気ユニットのように、踏めば踏んだだけ回転数を問わずに速度を上げていく。でも、これがターボSの本性でないことがフルスロットルを与えて分かった。
3,000rpmあたりでトルクがグワーッと盛り上がると同時に、この世のものとは思えぬ圧倒的な加速が身を包み込んだからだ。あまりに凄過ぎて、すぐに右足を緩めてしまった。我ながら情けない。
そこまで強烈な体験をさせておきながら、エンジン音は静か。ジェット機の離陸を思わせるフィーリングだ。
その分排気音はグォーッと豪快そのもの。キャビンでのボリュームは適度に抑えられているが、外で聞くそれは迫力満点だ。
こんなに速くては、日本の峠道じゃ楽しめない。ターボSにはアウトバーンが必須だと「最初は」思った。
でも数分後には、ステアリングスイッチからパドルに変わって圧倒的に操作しやすくなったPDKのマニュアルモードを活用し、積極的にアクセルを踏んでいる自分がいた。
さすが電子制御4WD。安心して遊べる性格にしつけられているのだ。
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