“役付き”ポルシェの最高峰「911 GT3 RS」「ケイマン GT4」試乗レポート(3/5)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:阿部昌也・ポルシェジャパン
あまりの違いに、違うことすら気付かなかった・・・!?
が、RSは確かに速くなっているのだと思う。何度も往復してるうち、ふと気づいたのだ。確かこのコーナー、GT3では3速を使い切った辺りでアプローチしていたはずなのに、このクルマは4速の途中じゃん……と。
どういうことかといえば、そのひとつ手前のコーナーをより速くクリアして、その立ち上がりからのスピードの伸びもさらに素速くて……と、一連の全てが違っているのだ。それはタイヤがより太くてパフォーマンスの高いものへと換えられ、サスペンションがチューニングしなおされたことによってメカニカル・グリップが増していること、また空力パーツの改良によってダウンフォースが大きくなっていること、エンジンのパワーもトルクも増強されたことで知らず知らずに速度の乗りがよくなってること、つまりRSは総合的に速さを増している、ということの証なのだ。フィールがあまりに自然だからなのか、実のところはあまりの速さに翻弄されていたからなのか、あるいは鈍いからなのか、そこに至るまで僕は気づかなかった、というわけだ。
もはやサーキットにでも持ち込まない限り、コイツの本性は見えてこない・・・
コーナリングも、もはや異次元のレベルだ。とんでもない勢い……と僕自身が感じてる領域から侵入していっても、あっさり曲がる。しかも狙ったとおりのラインにしっかり載せられる。これはヤバイかな……と思いながら意を決して入っていっても、恐ろしいくらいシャープに、それでもしっかりと“今、クルマはこういう状態にあるぞ”というインフォメーションをドライバーに伝えながら、すんなり綺麗に曲がっていく。限界っていったいどこにあるんだ? とその先を探りたいのに、先に自分自身の気持ちに限界が来てしまった。ワインディングロードは、このクルマのステージとしては明らかに役不足だ。もちろんこの領域で走っていても充分に楽しいし気持ちいいのだけど、全てを使い切ってみたいと考えるなら、サーキットでもないと無理だ。とてもじゃないけど、僕はスロットルを踏み切れない。
[操る愉しさでは負けていない「ケイマンGT4」・・・次ページへ続く]
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