ポルシェ 911GT2 海外試乗レポート(2/3)

  • 筆者: 河村 康彦
  • カメラマン:ポルシェ・ジャパン株式会社
ポルシェ 911GT2 海外試乗レポート
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ダイナミックなルックスと特許出願中の世界初となるアイテム

新しい911 GT2に与えられた類稀なる走りのポテンシャル――それはまず、派手な造形のリアスポイラーをはじめとしたこのモデルならではのダイナミックなルックスからイメージが出来る。

ポルシェ車の空力チューニングの例に漏れず、まずは前後アクスルに対するダウンフォースの獲得を重要視。『ターボ』用の造形をベースとしながらもインテーク拡大のためにフォグライトを廃したフロント・セクションに加え、ステー部分の両サイドにエアフィルターへと繋がるインテークが口を開いたスポイラーやテールパイプ脇にエア・アウトレットが追加されたバンパーなどから成るリア・セクションにも専用デザインが採用される。そうした様々な“付加物”を備えるにも関わらず、空気抵抗係数=Cdは0.32。これは、ターボの0.31に対してほんのわずかな低下に留まる値だ。

フロント235/35、リア325/30というサイズのタイヤは、GT3に初採用されたものと同様にドライ路面でのグリップ性を重視した浅溝タイプ。19インチのホイールリム内側一杯に広がるブレーキ・ディスクはセラミック・コンポジット製で、すなわち圧倒的に高い耐フェード性と耐磨耗性を誇り、ばね下重量の軽減にも大きく貢献をする“PCCB”が911シリーズの中で唯一標準装備されるのもこのモデルの特徴だ。

最強・最速! というさらなる高みにあるタイトルを手にするべく、ターボをベースとしながらもその前輪駆動系やリアシートを廃止するという策が施されたGT2だが、そうした軽量化に対する努力は2名分のシートにも払われている。

新開発された標準装備の“スポーツバケット・シート”は、グラスファイバーとカーボンファイバー強化プラスチックによる軽量複合素材を骨格とするもの。リクライナーをシートバック側のやや高い位置にレイアウトし、バックレストの角度調整機能を備えながらもバケットシート本来の優れた腰部のサポート性を確保するのは、なるほどサーキット意識のGT2用らしい特徴だ。

ところで、『ターボ』用比で50psものパワーアップを実現させたエンジンには、ターボチャージャーの大容量化を含む吸排気系を中心としたリファインが施されている。

より背圧が低く、重量もステンレススチール製のおよそ半分という「911シリーズ初のチタン製マフラーを採用」といった話題もあるものの、最も注目すべきは「特許出願中で世界初のアイテム」という“エクスパンション・インテークシステム”。

これは、吸気バルブの開閉により発生する脈動波のうち、最高出力の発生回転付近では敢えて負圧となるタイミングのみを拾って燃焼室に空気を送り込もうとする内径や管長を与えられたデザインのインテーク・マニホールドだ。これにより、吸気温度を最大で20℃ほど下げる事が可能となり、その分体積当たりの空気(酸素)密度が増して燃焼効率が上がる・・・という仕組み。言うなれば、これまでの一般常識である“慣性過給”とは反対の考え方だが、不足がちとなる吸入空気量は高圧のターボチャージングによって補填。むろん、ここでも圧縮熱が発生する理屈だが、それは後にインタークーラーを通して冷却するので問題にならないという。

実際、このGT2用エンジンで用いられる最大過給圧は、『ターボ』用比で0.4bar増しの1.4barという高い値。それでいながら、圧縮比はいずれも9.0と発表されている。「パワーアップだけでなく、およそ10%の燃費改善にもつながる」というのがこの“エクスパンション・インテークシステム”に対するポルシェ開発陣の説明だ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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