プジョー 508 試乗レポート/松田秀士(3/3)
- 筆者: 松田 秀士
- カメラマン:オートックワン編集部
ライバルを超えたコストパフォーマンスとその完成度
電動スイッチ式のサイドブレーキを解除して、Dレンジにシフト。
アクセルを踏み込むと何の苦もなくスルスルと走り出す。ターボ圧が低回転から立ち上がってトルクの不足感はない。
そして、走り出してシートの感触がすごく良いことに気づく。
特にエントリーモデルのAllureに装備されるファブリックシートが気に入った。ランバーの調整も効き、座面からお尻背面にストレスを感じないのだ。
さらに、視界が良いのでシートに負担を強いらない。508は欧州車のほとんどのモデルよりも明らかにダッシュボードのトップが低い。そのために前方視界がとても良く、左右を含めた前方向の見切りが良い。
欧州車のダッシュボードが高い理由は、衝突安全と歩行者傷害保護。これによってフロントバルクヘッドの位置が高く設定しているのだ。高くしなくとも、この2つの安全性をクリアする508の剛性とデザイン力は評価できる。他にも、室内の静粛性の高さに感心した。
さて、気になるハンドリングだ。
AllureとGriffeではタイヤサイズの違いもあり、サスペンションがよりしっかりした方向にセットされているのがGriffeだ。主にフロントのスタビライザーが太くなっている。データは存在しないが、ボクの個人的な評価ではセダンとSWとで明らかに差がある。
SWはセダンに比べ若干ボディ剛性が緩く、それに合わせてサスペンションもソフトだ。しかし、こちらの方が個人的には好きで、よりプジョーらしい足さばきだ。
欧州車に試乗するとき「締まりのあるよく動くサスペンション」等と評価するが、508SWを敢えて言うなら「締まりのないよく動くサスペンション」なのだ。
ステアリングを切った初期からスッと沈み込む。そのため、ステアリングのニュートラル域には最近のモデルにはない緩さが存在する。この感覚もプジョーらしくて大好きだ。
でも、ロールの中期から徐々に締まりが出て、フルバンプではしっかりとバンプラバーに乗り、タイヤのグリップを感じる。セダンは、これに対して初期がもっと締まっているしステアリングの緩さも少ない。
私のお勧めはSWだが、緩さを好まないならセダンが良いだろう。
コストパフォーマンスと完成度、そして使い勝手を考えればライバル独車を超えているかもしれない。
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