日産360試乗レポート ピックアップトラック編/九島辰也(1/2)
- 筆者: 九島 辰也
- カメラマン:日産自動車株式会社
世界を席巻するSUVも、ピックアップトラックあってこそのものだった
いまでこそ世界を席巻するSUVだが、90年代の半ばまではそれほどメジャーな存在ではなかった。ブームになったのは97年以降。メルセデスが「Mクラス」をアメリカ向けに投入した。そして翌年モノコックボディを使ったトヨタ「ハリアー」が、さらに99年にはBMW「X5」が市場導入され、世界中の注目を集めた。
それまでのSUVはというと、おもにアメリカ製。シボレーやフォード、ダッジのピックアップのベッド部分を覆い、そこにセカンドシートやサードシートを載せたのがその正体となる。つまり、ピックアップトラックあってこそのSUVだったのだ。
なぜそんな話をするかというと、先日の“日産360”でアメリカで売られる日産ピックアップトラックに乗る機会を得たからだ。“日産360”についてはすでに他のレポーターが記事掲載しているので多くを語らないが、簡単に言うと世界で売られている日産車に一気乗りできるメディア向けの国際試乗会である。
アメリカでは珍しいビッグ3以外のフルサイズピックアップが登場
そこでまず目にしたのが「タイタン」である。他のメディアが次期スカイラインとなるインフィニティをチェックしている頃、タイタンのステアリングを握っていた。というのも、このクルマはアメリカでは珍しいビッグ3(デトロイト3?)以外のフルサイズピックアップ。トヨタ「タンドラ」とこいつだけがその牙城に食い込んでいる。他のメーカーがそこに目を向けないのは関税が高いからだ。アメリカでは輸入乗用車が2.5%なのに対し、輸入トラックは25%の関税がかけられる。なので、日産もトヨタも現地生産という手を取ってそれをクリアしている。
では、その走りだが、まずエンジンがすばらしい。ボンネットの下には5.6リッターV8が鎮座する。日本にいると、「日産はV8を止めたのか?」となるが、いやいやどうして、まったくもって健在である。しかもパワーは317hpと抑えながらも低回転から大トルクが発生する頼もしい走りを見せる。ドーンという加速ではないが、アクセルに対して浮き上がるボンネットは迫力十分。レーシーなイメージの「タンドラ」とは違う仕事グルマとしての誇りを感じた。ある意味プロスペックである。
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