中国で一番売れてる日本車、日産 シルフィが100%電気自動車として世界初公開

フルモデルチェンジで初めてEV化されたシルフィ

2018年4月25日~5月4日まで開催された北京モーターショーで、フルモデルチェンジを発表した日産シルフィ(中国名:軒逸)。ニューモデルとなり、ついに今回完全な電気自動車となった。ちなみに、中国語でピュアな電気自動車は「純電車」、完全な新型車のことを「全新」、フルモデルチェンジのことを「全新一代」という。したがって、フルモデルチェンジを受け初めてEVになったシルフィは「全新 軒逸・純電」と表記されている。

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2006年に中国デビューしたシルフィ、当時の月販目標台数は5千台だったが…

シルフィが中国(広東省花都工場)で生産、発売開始となったのは2006年のこと。中国における日産車開発拠点となる「東風日産乗用車技術センター」の竣工とほぼ同じタイミングで発表された。

日産自動車の発表によると、中国デビュー当時の目標販売台数は月販5000台強だったが、その後、中国のモータリゼーションが急加速したことも後押しして、シルフィを含む日本車の人気も急上昇。2012年に発売された2代目シルフィが中国のカー・オブ・ザ・イヤーを獲得したこともあり、さらに販売台数がアップ。2016年には年間販売台数36.3万台、2017年には40万台を突破し、中国で販売されている日本車の中ではダントツの1位となったのである。当初の販売目標台数から換算すると6倍以上だ。

なお、2017年に中国全体で販売された乗用車は約2471万台、そのうちシルフィは中国車を含む全体の販売台数ランキングでも40万5854台で5位に入っている。他の日本車では8位にトヨタカローラがランクインしている(33万6018台)。中国では日産車全体が好調で、2017年は過去最高の151万9714台を記録して日本車メーカー1位。前年比12.2%増をマークし、5年連続で前年実績を上回る好調ぶりだ。

なぜ売れる? 日産 シルフィ人気の理由

それにしても中国市場でなぜシルフィがここまで人気を集めたのだろうか?

昨今の中国自動車市場ではSUVが圧倒的な強さを見せており、昨年の上海モータショー、今年の北京モータショーでは最新のスタイリッシュなデザインを与えられた国内外のSUVが各ブースを華やかに飾っており、出展されている車の7~8割はSUVだ。

そんな会場の中で、おとなしめの正統派セダンであるシルフィの圧倒的人気は少し不思議な気もする。

そこで、モーターショー会場の日産ブースにいた英語が話せるスタッフ(中国の日産ディーラー関係者)と、たまたま現行のシルフィに乗っているオーナーがいたので、お二人に聞いてみた(個人のコメントなので、匿名でとの条件で応対してくれた)。

彼らの話をまとめると…

■ シルフィは中国の中流以上の家庭にちょうどいい車である。

■ 日産の車は何事も正確で、故障が少なく、日本車ではこれが当たり前なのかもしれないが、部品がすぐに届いてすぐに修理が完了するのは素晴らしいことである。以前乗っていた中国ブランドの車とは大違い。

■ 中国では新しいデザインのSUVが大変人気があるが、やはり40台後半より上のオーナーにとっては、オーソドックスなセダンが落ち着く。

■ シルフィは「豊かな家族の車」というイメージで安心感がある。中国人は家族をとても大切にする。乗り心地や維持費など、家計、家族のことを考えた車作りができていると思う。

■ 中国で生産されているので輸入車ほどのステータスはなくても、車両の値段は安く、そして品質が最高、室内も広くて快適。とびぬけて斬新!スゴイ!という部分はないが、逆を言えば、「非の打ちどころがない」車である。

なるほど。アメリカでカムリが15年以上も乗用車1位の販売台数をキープしている理由と似ている気がする。アメリカと中国にはモータリゼーションの歴史に50年近い差があるが、どちらの場合も人々が車に求めている理由に変わりはないのかもしれない。

中国における3代目シルフィはゼロ・エミッションの純電気自動車として公開

北京モーターショーで世界初公開となった中国市場向け「シルフィ ゼロ・エミッション」は、日産ブランド初の中国市場向け量産EVとして2018年秋以降に発売を予定している。

シルフィ本来の特長である広い室内と高い快適性に加えて、数々の先進技術も採用した「シルフィ ゼロ・エミッション」は、中国の基準で338kmの航続距離を達成したとのこと。

日産はこれまで世界累計で約32万台の「日産 リーフ」を販売しているが、もし、シルフィ ゼロ・エミッションがリーフと同じ勢いで販売されるなら、リーフの世界累計販売台数を1年足らずで抜いてしまう可能性もあるかもしれない。

[Text/Photo:加藤 久美子]

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加藤 久美子
筆者加藤 久美子

山口県下関市生まれ 自動車生活ジャーナリスト 大学時代は神奈川トヨタのディーラーで納車引き取りのバイトに明け暮れ、卒業後は日刊自動車新聞社に入社。出版局にて自動車年鑑、輸入車ガイドブック、整備戦略などの編集に携わる。95年よりフリー。2000年に第一子出産後、チャイルドシート指導員資格を取得し、チャイルドシートに関わる正しい情報を発信し続けている。 得意なテーマはオリジナリティのある自動車生活系全般で海外(とくにアメリカと中国)ネタも取材経験豊富。愛車は22年間&26万km超の916アルファスパイダー。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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