水素供給・利用技術研究組合・山梨文徳インタビュー(4/5)

水素供給・利用技術研究組合・山梨文徳インタビュー
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500~1000万円で、燃料電池自動車が買える?

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ところで、あと3年後の2015年には、「一般ユーザーへの普及開始」が予定されている。本当にそれは可能なのだろうか?

山梨文徳 燃料電池スタック(発電装置部分/筆者注)は、体積が小さくなり、白金使用量も減り、安くなってきています。一方、車載の水素タンクは、70MPa(メガ・パスカル)への対応で高価なカーボンファイバー製となっています。試作車の段階から1/10~1/20といったコスト削減の技術的目途は、各自動車会社とも立ってきています。およそ500~1000万円くらいの車両価格でしょうか。ただし、たくさんの台数を売ってという前提での価格です。2015年時点での台数だと、この価格で生産出来るわけではありません。

いま、13年後の2025年には、200万台程度を普及させ、水素ステーションは1000カ所程度という普及のシナリオがあります。それまで、自動車メーカーの経営陣が、ある程度の赤字を覚悟で燃料電池自動車を販売する決断ができるかどうか?またそのためには、ある程度、国からの補助なども必要でしょう。はじめは、ヨチヨチ歩きですから。

日産の例で言えば、最近になってカルロス・ゴーン社長の発言に、燃料電池自動車のことが出てきています。ある時期が来れば、コミットメントするでしょう。そのためにも、担当役員などに「ガンバレ」「早くやれ」と、ハッパを掛けているのではないでしょうか。ダイムラー社との提携も、そうした一面の表れではないかと思います。

そして、今年のパリモーターショーで日産は、待望の燃料電池自動車のコンセプトカーを公表しました。「TeRRA」SUVコンセプトがそれです。前輪は、日産リーフの駆動系を活用し、後輪にはインホイールモーターを使い、世界トップレベルの出力密度を誇る燃料電池スタックを搭載しています。コンセプトカーとはいえ、水素が広く普及すれば燃料電池自動車を量産する準備が整っていることを表明しています。

では、水素ステーション普及のほうは、2015年に間に合うのだろうか?

山梨文徳 とくに石油会社は、ガソリン販売の現状に危機感を持っています。ごく普通のガソリンエンジン車でも、燃費が大幅に改善され、ガソリンの売れ行きが落ちています。ガソリンスタンドも、1995年に6万件以上あったのが、2011年には4万件を割り込んでいます。

一方で、石油会社は、石油の脱硫を行うため、水素の製造工場を持っています。それもガソリンの売れ行きの低迷で、稼働率は半分程度に落ちているのです。もしフル稼働すれば、燃料電池自動車500万台相当の水素を製造できる能力を持っているのです。しかも、新たな設備投資せずに。

したがって、2025年に200万台の燃料電池自動車を普及させるというシナリオの台数を十分賄える水素供給体制は、すでにあるのです。

そのうえ、石油会社は、販売店へガソリンや軽油、灯油を運搬する物流技術をすでに持っています。ですから、水素ステーションへの水素の運搬も、基本となる技術は持っていると言えます。

水素は、石油や天然ガスのような1次エネルギーではなく2次エネルギーであるため、作るのが大変だと聞いていた。もちろん、水素が2次エネルギーであることに変わりはない。だが、石油会社が、それほど大量に水素を作れる能力を備えているとは知らなかった。

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御堀 直嗣
筆者御堀 直嗣

1955年東京出身。自動車ジャーナリスト。玉川大学工学部機械工学科卒業。1978年から1981年にかけてFL500、FJ1600へのレース参戦経験を持つ。現在ではウェブサイトや雑誌を中心に自動車関連の記事を寄稿中。特に技術面のわかりやすい解説には定評がある。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。また現在では電気自動車の普及を考える市民団体「日本EVクラブ」副会長を務める。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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