日産 セレナe-POWERはバッテリーが切れたら坂道を登れなくなるのか?バッテリーを空にして試してみた

  • 筆者: 国沢 光宏
  • カメラマン:小林岳夫・国沢光宏

セレナe-POWERは高速道路の長い登り坂を克服出来るのか?

発売以来、好調に売れている日産 セレナe-POWERには、1つだけ懸念される条件があった。「高速道路の長い長い登り坂を克服出来るか?」という点だ。

というのも、後述するが、セレナe-POWERに搭載されるのは、84馬力しかない1.2リッターエンジン。バッテリーによるアシストが無くなったなら、車重1760kgをこのエンジンだけで走らせなければならない。

セレナe-POWERの試乗会の時に「例えば関越道の渋川伊香保から赤城までの長くてキツい登り坂をキチンと走れますか?」と聞いたら、開発担当者も「東名道の大井松田~御殿場間は問題ありませんでしたが、関越道について試していないので解りません」。う~ん。

以下、改めてセレナe-POWERのパワーユニットに付いて紹介しておく。

>>登坂性能はどうだ!?セレナe-POWERの画像を見る

セレナe-POWERがEV走行できる距離はわずか3km

駆動系の基本は電気自動車である。実際、走行用モーターも電気自動車のリーフと同じタイプを使っている。ただ電気自動車のような大きい走行用バッテリーを搭載していないため、電気自動車としての動力性能は最大で52馬力&航続距離3km程度。つまりエンジンを使わない状態だと52馬力で3kmしか走れない電気自動車ということ。

これだけでは圧倒的な性能不足のため、1.2リッターエンジンで発電機を駆動し、最大84馬力分の電力を供給する。つまりバッテリーだけだと52馬力。エンジンだけなら84馬力。合わせて使って136馬力といった具合。バッテリーをバッファとしている。例えば停車時はエンジン停止。そこから走り出す場合、バッテリーで52馬力を引き出す。

走り出すとバッテリーを消費するため、エンジン掛けて走行用の電力+バッテリー充電の電力を発電する。さらに減速時もエネルギー回生し、バッテリー充電。といった具合で、賢く細やかに効率良くエネルギーを使っているのだった。今回問題となったのは、52馬力を引き出すバッテリーを使い切った時の動力性能である。

長い登り坂に差し掛かった場合、最初エンジンの84馬力+バッテリーからの52馬力も加わり136馬力をフルに使える。けれど使えるバッテリーの容量はリーフなど電気自動車と比べ圧倒的に少ない。リーフだと36kWhくらい使えるが、セレナe-POWERって0.5kWhくらいしか使えないのだった。フルに52馬力使ったら、2~3分で売り切れ。こうなると84馬力のエンジンだけで頑張らなくちゃならない。

ということで文頭に戻る。バッテリーを使い切ったら、登り坂でノロノロ走行になっちゃうかもしれません。

長い長い前置きになった。机上でアレコレ考えるより走ってみればよい。関越道を北上し、走行用バッテリーを売り切れにした状態のまま赤城の登り坂に突入してみた!

バッテリーが空っぽの状態で登り坂に突入!結果はいかに!?

関越道下り線の渋川伊香保ICから赤城ICの制限速度は80km/h。後続車が全く居ないことを確認し、60km/hからアクセル全開加速する。

するとどうよ!確かに加速はバッテリーがビンビンの時より鈍い。けれど明確な加速を開始。あまりストレスなく80km/hに到達する。この加速感なら、6名乗車+冬の向かい風であっても、80km/h+αの巡航が出来ることだろう。

参考までに書いておくと、渋川伊香保~赤城の登り坂は走行1kmで30m上がる。大井松田~御殿場が同14m。赤城の坂を走れれば高速道路の登り坂なら全て対応可能だと思う。もう少し掘り込めば、計算上、赤城の登り坂だと2人乗り程度の空荷で130km/h。6名乗車+向かい風15mなら100km/hくらいが物理的な最高速となる。

その他、様々な条件&荷重で600kmほど走らせてみたが、通常の使い方ならパワー不足感全く無し。負荷が少なくなったらすぐ充電制御に入るため、通常の乗り方だとバッテリー残量無くなることは”ほぼ”無いと考えていいだろう。

今回試せなかったほど過酷な環境だと解らないけれど、私は「2000ccクラスのライバルと同等」と評価します。

[TEXT:国沢光宏/PHOTO:小林岳夫・国沢光宏]

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国沢 光宏
筆者国沢 光宏

1958年生まれ。ベストカーガイド編集部員を経て自動車評論家に。空気を全く読まず言いたいことを言い、書きたいことを書くので自動車メーカーから嫌われている。現在所有しているクルマは日産 リーフやトヨタ MIRAIなど多数。趣味はラリーに出場すること。人気のない(本人談)Webサイトを運営中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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