遂にハイブリッドの“e-POWER”を搭載した、日産 セレナe-POWERの実力やいかに!?(3/3)

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e-POWERでは3列目の足元空間が狭まるも、スライド機能を備え快適性は妨げていない

このセレナe-POWERの走行性能と乗り心地は、総じて満足度が高いが居住性には注意したい。

前述のように駆動用リチウムイオン電池を前席の下に搭載したから、1列目シートの中央部分が持ち上がったところにトレイを設置した。このために1/2列目間の移動がしにくい。

そして1列目の下に駆動用リチウムイオン電池があるから、2列目に座った乗員の足が1列目の下側に収まりにくい。

Sハイブリッドに身長170cmの大人6名が乗車した場合は、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ2つ分まで詰めても窮屈に感じないが、e-POWERでは握りコブシ2つ半程度の余裕を持たせないと膝が持ち上がりやすい。

つまりe-POWERでは2列目のスライド位置がSハイブリッドよりも後ろへ下がるから、結果的に3列目の足元空間が狭まる。それでも3列目のスライド機能を備えたe-POWER ハイウェイスターVとe-POWER・XVであれば、2列目の膝先に握りコブシ2つ半の余裕を与えても、3列目に握りコブシ2つが収まる。Sハイブリッドに比べると少し窮屈だが、多人数乗車時の快適性を妨げるほどではない。

2列目のシート形状はSハイブリッドのベンチタイプと違ってセパレートのキャプテンシートだが、満足のできる座り心地だ。サイズに十分な余裕があってリラックスできる。左右方向のスライド機能も装着したから、中央寄りにレイアウトすれば、スライドドア付近のスペースが広がる。

そしてモーターや駆動用電池がボディの中央から前側に備わるので、荷室の広さなどは基本的にSハイブリッドと同じだ。3列目を畳めば自転車などを積みやすい。Sハイブリッドと同様にデュアルバックドアも装着され、荷室のバックドアの上半分だけを開閉できる。縦列駐車をしているような時でも荷物を出し入れしやすい。

このほかセレナ全車に通じる特徴は、ウインドウの下端低めで視界が良いことだ。セレナのような背の高いミニバンは、視線が高めだから、遠方が良く見える代わりにボディ左側面の死角が拡大しやすい。ウインドウの下端を低く抑えたボディ形状は、この欠点を和らげている。

逆に注意点は、ヴォクシー/ノア/エスクァイアやステップワゴンに比べて、床の位置が70mmほど高いこと。セレナはサイドステップ(小さな階段)を介して乗り降りする。乗降性を確認しておきたい。

e-POWERではハイウェイスターだけでなく、標準ボディでも満足できる

それでもe-POWERは、セレナにとって選ぶ価値の高い仕様だ。Sハイブリッドに比べて価格は47万円ほど高くなるが、エコカー減税の違いで実質差額は39万円くらいに縮まる。この金額を燃料代の差額で取り戻せるのは、レギュラーガソリンが1リッター当たり140円、実用燃費がJC08モードの85%で計算して、10万km少々を走った頃だ。前述のようにe-POWERの採用で、動力性能、静粛性、操舵感、乗り心地などが向上することも考えると、幅広いユーザーにとって選ぶ価値があるだろう。

e-POWERハイウェイスターVの価格が340万4160円で高すぎる場合は、標準ボディのe-POWER・XVも検討する。このグレードなら312万8760円だから、SハイブリッドハイウェイスターVセレクションの293万4360円に近い。e-POWERでは全車に切削タイプのアルミホイールなどが装着されるから、ハイウェイスターでなくても外観は相応に満足できると思う。

今はミニバンといえばエアロ仕様が人気で、ステップワゴンはスパーダのみにハイブリッドを用意した。標準ボディはマイナーチェンジすら受けていない。

しかしセレナの落ち着いた運転感覚と快適な乗り心地には、シックな標準ボディも良く似合う。2トーンのボディカラーも洗練されている。価値観の新しいe-POWERを購入するなら、標準ボディも検討してみたい。

[Text:渡辺陽一郎 Photo:小林 岳夫]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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