三菱 eKスペース[e-Assist] 2015年モデル 試乗レポート/渡辺陽一郎(4/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
eKスペースにはターボエンジンが適している
以上のようにノーマルエンジンは車両重量に対して力不足だが、ターボは印象が大きく変わる。最高出力は30年近く続いている自主規制で64馬力(6000回転)だが、最大トルクは10.0kg-m(3000回転)だ。後者の数値はノーマルエンジンの167%で、1リッタークラスに匹敵する。しかも実用回転域で発揮される。
運転すると、今日の軽自動車用エンジンの中では、ターボのクセが少し強い。2000~3500回転付近でアクセルペダルを軽く踏みながら巡航している時、緩く加速すると、少し時間差を置いてから駆動力が高まる。慣れないと、踏み増したアクセルペダルを加速が始まった後で少し戻す感覚になる。
それでもノーマルエンジンに比べれば大幅に扱いやすい。ノイズも抑えられ、坂道の多い地域にも適するエンジンとなった。アイドリングストップも装着されたから、最大トルクの向上率は167%でも、燃費数値は92%で悪化率が小さい。
ほかの軽自動車にも当てはまる話だが、ターボはとても合理的だ。eKスペースはボディは小さくても車内は広く、居住性はコンパクトカー並み。つまりエンジンもボディも高効率な「ダウンサイジング」といえるだろう。
車種数が少ないゆえの不利もあるが、更なる積極的な進化に期待したい!
軽自動車は薄利多売の商品で競争も激しい。だから車種の多い方が有利になる。スズキであれば11年に「MRワゴン」がJC08モード燃費を27km/Lに向上。ハイブリッドを除くノーマルエンジン車のトップに立ち、「ワゴンR」はこれを反映させた後、12年のフルモデルチェンジではSエネチャージで28.8km/Lに到達した。すると13年には「スペーシア」が登場して29km/Lに伸ばし、さらにワゴンRは30km/L、14年にはSエネチャージで32.4km/Lとなった。さまざまな車種を発売する度に、階段を登るように燃費を向上させてきた。
直近では「アルト」が新しいプラットフォームを採用。スペーシアはSエネチャージの採用と併せて、衝突回避の支援機能に2つのカメラを使い、安全性能も向上させている。一連の技術はほかの車種にも水平展開され、進歩をさらに促す。
こういった点で車種数の少ない三菱と日産は、不利を強いられている。技術的な進化を敢えて積極的に行う必要があるだろう。
eKスペースはどちらかといえば地味な軽自動車だが、後席の座面の奥行寸法は、小型&普通車を含めて最長クラスになる。もう少し座面を柔軟に仕上げれば、後席用のエアコン吹き出し口などと相まって「軽自動車の居住性ナンバーワン」を不動の評価にできる。標準ボディにターボを搭載することも含め、さらに前向きな商品改良に取り組んで欲しい。
[レポート:渡辺陽一郎]
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三菱 eKスペース G[e-Assist](FF) 主要諸元
全長x全幅x全高:3395x1475x1775mm/ホイールベース:2430mm/車両重量:930kg/駆動方式:前輪駆動(FF)/乗車定員:4名/エンジン種類:直列3気筒 DOHC 12V ガソリンエンジン/総排気量:659cc/最高出力:49ps(36kW)/6500rpm/最大トルク:6.0kgf-m(59N・m)/5000rpm/トランスミッション:CVT(自動無段変速機)/タイヤサイズ:155/65R14/燃料消費率:26.2km/L[JC08モード燃費]/メーカー希望小売価格:1,447,200円[消費税込]
三菱 eKスペース カスタム T[e-Assist](FF) 主要諸元
全長x全幅x全高:3395x1475x1775mm/ホイールベース:2430mm/車両重量:960kg/駆動方式:前輪駆動(FF)/乗車定員:4名/エンジン種類:直列3気筒 DOHC 12V インタークーラー付ターボチャージャー ガソリンエンジン/総排気量:659cc/最高出力:64ps(47kW)/6000rpm/最大トルク:10.0kgf-m(98N・m)/3000rpm/トランスミッション:CVT(自動無段変速機)/タイヤサイズ:165/55R15/燃料消費率:24.0km/L[JC08モード燃費]/メーカー希望小売価格:1,758,240円[消費税込]
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