日産 新型 フーガ 3.7GT TypeS[2015年マイナーチェンジ] 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
今や貴重なV6 3.7リッターNAエンジン
V型 6気筒 3.7リッターエンジンの動力性能は以前と同じで十分に力強い。低回転域から余裕のある駆動力を発揮して、5000回転を超えた領域の吹き上がりも活発だ。
ただしハイブリッドを除くと、アイドリングストップは装着されない。370GTタイプSのJC08モード燃費は8.9km/Lにとどまる。2.5リッターは11.2km/Lだが、これも良好ではない。スカイラインが搭載したダイムラー製の2リッターターボを積むなど、工夫が求められそうだ。
もっとも、フーガの性格を改めて考えると、いっそ海外版の「インフィニティ Q70」が搭載するV型8気筒の5.6リッターが欲しい。最高出力は420馬力に達し、レクサスLS460を上まわってLS600h並みの性能だ。Q70 5.6の北米価格は6万2850ドル。ハイブリッドよりも高価で日本なら750万円くらいになりそうだが、フーガらしいエンジンだと思う。
今こそ「日本にない日産車」をもっと売るべきだ
前述のように今の日産では、日本国内の優先順位が下がった。軽自動車、「セレナ」、「キューブ」を除くと、大半の車種が海外向けといってもオーバーではない。
ならば、日本には導入されていない海外向けの個性的な日産車を積極的に導入したらどうか。
インフィニティなら「Q60」(「スカイラインクーペ」)のコンバーチブル、LサイズSUVの「QX80」。日産ブランドなら「ムラーノコンバーチブル」。いや、そもそも「ムラーノ」自体が既に販売を終えていて、北米では3代目へとフルモデルチェンジを実施している。欧州では新たに「パルサー」(中国などで売られる2代目「ティーダ」の姉妹車)が発売され、「ジューク」にはディーゼルターボやガソリン1.2リッターターボなどもある。たとえ日産が海外市場を強めても、こうしたモデルを導入することで、日本のユーザーを楽しませる方法はいくらでもあるだろう。それをしないと、日本における日産の存在感が薄れてしまう。将来的に海外での戦いが厳しくなり、改めて日本に活路を見い出そうとした頃には時既に遅し。踏ん張りが利かなくなる心配がある。
[レポート:渡辺陽一郎]
※画像をクリックすると、より詳細な日産フーガをチェックできるフォトギャラリーページへとジャンプします。
日産 フーガ 3.7GT TypeS[2015年2月マイナーチェンジ] 主要諸元
全長x全幅x全高:4980x1845x1500mm/ホイールベース:2900mm/車両重量:1770kg/乗車定員:5名/駆動方式:後輪駆動(FR)/エンジン種類:VQ37VHR型 DOHC V型6気筒 VVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム) ガソリンエンジン/総排気量:3696cc/最高出力:333ps(245kW)/7000rpm/最大トルク:37.0kgf・m(363N・m)/5200rpm/トランスミッション:マニュアルモード付 7速オートマチックトランスミッション/燃料消費率:8.9km/L[JC08モード燃費]/タイヤサイズ:245/40R20(前後)/全国希望小売価格:5,622,480円[消費税込み]
この記事にコメントする