日産 R35 GT-R 2015年モデル 試乗レポート/嶋田智之(1/4)

日産 R35 GT-R 2015年モデル 試乗レポート/嶋田智之
(左)日産 GT-R NISMO 2014年モデル(右)日産 GT-R 2015年モデル 日産 GT-R 2015年モデル(右)とモータージャーナリストの嶋田智之氏 日産 GT-R 2015年モデル 日産 GT-R 2015年モデル 日産 GT-R 2015年モデル 日産 GT-R 2015年モデル 日産 GT-R 2015年モデル 日産 GT-R 2015年モデル 日産 GT-R 2015年モデル 日産 GT-R 2015年モデル 日産 GT-R 2015年モデル 画像ギャラリーはこちら

日産 GT-R 2015年モデルが発売!その進化の程は!?

日産 GT-R 2015年モデル(右)とモータージャーナリストの嶋田智之氏

R35型GT-Rが2015年モデルへと切り替わったことは、ファンの皆さんなら先刻御承知、といったところだろう。

何しろ日本が世界に誇れる、無二といえるスーパースポーツカー「GT-R」。その注目度は、デビューから7年を迎える現在も驚くほど高いのだから。

けれど、「日産「GT-R」2015年モデルを発売」のニュースを御覧になって、頭の中に「?」が浮かんだ方もおられるのではないだろうか。なぜなら改良点は見た目にもスペックにもハッキリとは表れておらず、今ひとつイヤーモデルとして誇っていいのかどうか判断しにくい。クルマにあまり詳しくない人にしてみれば、何のことやらさっぱり解らないような領域のことばかりだからだ。

日産 GT-R 2015年モデル日産 GT-R 2015年モデル

サスペンションはダンパーの減衰力の性格づけやその制御を司るECUのセッティング、スプリングやブッシュの硬さなどの見直し。タイヤは材質や内部構造の見直し。ブレーキはパッドを変更し、ローターとキャリパーの間にあるクリアランス用シムの形状も変更。ステアリングはダイナミックダンパーの効き具合を調整。エンジンやトランスミッションは制御を見直し。トランスアクスルやドライブシャフトなどは精度を最適化。フライホイールハウジング内のベアリングを仕様変更。トランク内のカーペットの材質を変更。

あれこれ手が入ってることは判るし、おかげでこれまで以上にクルマの動きが正確になって、逆に意図しないような動きを抑えてくれるようになって、タイヤがさらに路面を捕らえ続けられるようになって、乗り心地もよくなって、音や振動が減って快適性を増し、操作系のフィールやコントロール性がよりドライバーの感性に忠実になって・・・と、メーカー側が主張するメリットが色々ありそうなことも判った。

とりあえず判ったんだけど、2014年モデルではあれだけ“鳴り物入り”だったのに、2015年モデルは・・・コレだけ? っていうか、やってること、あまりにも地味すぎない? 本当にこのぐらいのことで、GT-Rの価値がさらに高くなったのだろうか・・・?そんなふうに感じた方がいたといても、僕はそれほど不思議には思わない。

マニアックな改良内容となった2015年モデルのGT-R、その意味とは・・・

日産 GT-R 2015年モデル

実際のところ、2015年モデルとしてGT-Rに加えられた改良は、ある意味では物凄くマニアックなのだ。

ちょっと乱暴な言い方になるけれど、例えば「操縦性や安定性を向上させました。乗り心地も良くしておきました」ということを手っ取り早くアピールするには、ダンパーひとつ、バネひとつをそれまでと別のモノに換えて、「ほら、違うでしょ?」とやればいい。

けれど、開発陣はそうしたインスタントな手に出ることをよしとせず、以前から同じ方向を見ながら一緒にやってきたサプライヤー、いやパートナーともいえる技術陣とタッグを組んで、従来のものを煮詰め続けるという地道な方法を選択している。

それも、これまでだって決して評価が低かったわけでもないのに、ダンパーの中にある小さなバルブの構造に手を入れるような、ベアリングをミクロン単位でチューニングするような、そうしたひとつひとつが微に入り細に入り地味だけど手間のかかる、そのうえ全体バランスを改めて見つめ直さなければならないような、楽じゃない作業を積み重ねてGT-R 2015年モデルを作り上げた。

普通、こうした“目に見えない部分”に開発コストをかけることを、自動車メーカーはあまりやりたがらないものだ。とりわけ日本の自動車メーカーにはそうした傾向が強いように思う。なぜならインパクトに欠け、費用対効果を考えた場合に、アピールが弱いからである。

日産 GT-R 2015年モデル

例えば外観に何かハッキリと判るアレンジを加え、抱き合わせにして発表すればその点を回避しやすかったりするものだけど、今回のGT-Rにはそうしたところは皆無といっていい。手を入れた箇所という箇所が愚直なまでに細かく、地味で、華やかさの欠片もない。

それが何を表してるのか──?

「本気」である。GT-RをGT-Rとしてさらに理想的なカタチに仕上げていこうとする、開発陣たちの明快で強固な意志。そこからは台数を売るためにユーザーの目先を変えようとする小賢しさのようなものは全く感じられない。

だから僕は、この派手さのないヴァージョンアップから、逆に凄味のようなものを感じてしまうのだ。

2015年モデルのGT-Rは、“GT-R”の“R=レーステクノロジー”の部分をそのままに“GT=グランツーリスモ”の部分をグッと充実させた2014年モデルのベクトルを、さらに推し進めたクルマらしい。果たしてどんな乗り味を持っているのか、試乗の日が楽しみでならなかった。

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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