日産 新型 エルグランド[2014年1月ビッグマイナーチェンジモデル] 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志
そこでマイナーチェンジ後の新型 エルグランドは、荷室の床を下げて3列目シートにスライド機能も設けた。3列目を前に寄せれば、車内の後端には、上下方向に余裕のある荷室を確保できる。従来型と違って、3列目を畳んでもフラットな荷室にはならないが(ディーラーオプションではフラットラゲッジボードが用意されている)、上下方向の寸法が増したことで使い勝手は向上した。3列目シートの背面形状も見直され、畳んだ状態の積載性も高めている。
現行エルグランドはリヤゲートの開口下端が少し高く、3列目の格納方法も、左右跳ね上げ式ではなく前方に畳む方式にした。3列目を電動格納にするといったメリットはあったが(マイナーチェンジ後は設定されていない)、3列目を畳んだ時の荷室を広げる上では不利な条件が重なった。そこでマイナーチェンジで改善したわけだ。
複雑だったグレード構成を見直し
このほかグレード構成も見直され、直列4気筒の2.5リッターエンジン搭載車に、「ハイウェイスター プレミアム」が追加された。従来から設定のあったV型6気筒 3.5リッター搭載の同グレードと同じく、本革シートなどが装着される上級グレードだ。その代わり、2.5リッターの「250ハイウェイスター ブラックレザー」は廃止された。マイナーチェンジを経て、やや複雑だったグレード構成が分かりやすくなっている。
試乗車は、新設定された2.5リッターの「250ハイウェイスター プレミアム」を選んだ。車内に入ると、インパネ周辺の造り込みは、従来型にも増して上質だ。木目の装飾の入れ方などは、まるで高級セダン「日産 フーガ」のミニバン仕様という雰囲気。ミニバンとしてはインパネの上端やサイドウインドーの下端が高めで、セダンのような囲まれ感がある。側方や後方の視界を得る上では不利な形状だが、豪華な雰囲気は演出されている。
高級セダンの質感と、セダンにはないゆとりの空間
標準装着される本革シートにはステッチも入って、座り心地は適度に柔軟だ。本革の割に滑りにくく、運転姿勢も乱されにくい。助手席は座面の下側からオットマンが持ち上がり、足を適度にサポートする。
2列目シートは床と座面の間隔が若干不足する。少し腰が落ち込み、膝が持ち上がりやすい。オットマンを装着したことも関係しているが、座面の前端は柔軟に仕上げた。膝の裏側を強く押される印象はなく、快適に座れる。
3列目シートは2列目以上に床と座面の間隔が近く、膝が持ち上がって大腿部が座面から離れやすい。なので大人6名で乗車する時には、新たに装着された3列目のスライド機能を後端に寄せることになる。座面の造りは比較的柔軟で、座り心地に不満はない。
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